感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
misui
6
朗読前提の詩なので、目で追う分には本来の味わいは伝わらないかもしれない。話し言葉の導入(特に翻訳調の口語)、響きの面白さの優先、長大化など、やはり音声の影響下にある。性愛がごく普通に扱われていたりと内容も赤裸々で、詩論を読むと、こうした試みはすべて詩の単一化を防ぐ目的で意識的になされていることがわかる。詩に声を引き入れて交じり合っていく姿は、きりもみしながらもただただ自由だ。2014/07/08
うりこ
3
「現代詩手帖7月号」、詩誌「ゆすりか」最新号に、新作を発表しているかずこさん、1931年生まれ、90歳。この詩集で、初期の名作がたっぷり楽しめた。白石かずこという詩人のエネルギー浴びながら、うーん、やっぱり天才だなと思った!ベトナム戦争、暴動、人種差別、ジャズ、ヘンリー・ミラー、コルトレーン、その時代のもつ良いも悪いも、青春としかいいようのない〈時〉を内側に取り込んで、全身から溢れ出す言葉に、瞬間に、命を与える。ほとばしる言葉を書くのに、ペンがおいつかないほどではなかったかと思う。ああ、面白かった~!!2021/07/19
あや
3
佐野元春さんの雑誌で名前が上がっていたので図書館で手に取る。冒頭「卵のふる街」からノックアウトされた。白石かずこさんにはジャズがよく似合う。2020/03/20
なかたつ
3
自分が詩を書くきっかけになった詩人。「卵のふる街」は生で朗読を聞いた。それから幾年経ち、ようやくまともに白石さんの詩を読んだ。高橋睦郎が作品論で書いているように、白石さんはきっと生まれながらの聖性を持った人である。それゆえ、言葉にわざとらしさがない。身の丈にあったお洒落な言葉。それは、生の白石さんの姿を見れば、容易に結びつく、身体というよりリズムと言葉の一致。それにしても「My Tokyo」という詩を読めばわかるように、どうして白石さんに限らず、地下鉄を子宮と捉える考え方によく出会うのだろうか。2013/08/30
Cell 44
2
「大学の入学の夜は、西部劇にでてくる風な小屋のバーにいた。その頃、文学部長の谷口精二のヒザにのっていると、仏文の佐藤輝夫教授がいて、「きみはマチスの女だネ」といって「そーでない」とわたしはゴネてそれから〈ピカソ〉の話をした歯の浮く生意気さ加減さゾッとする。坂口安吾が、昨日、キチガイ病院からでてきたといい、梅崎春生が「かずこさん、ぼく、かけない」といってメソメソし、それをわたしが叱ると横にフランケンシュタインみたいに薄気味悪い男がいて、飛行船の話をした人は稲垣足穂であった」(「白石かずこのアルバム2東京」)2016/01/06