明日への対話<br> 電脳世界―最悪のシナリオへの対応

明日への対話
電脳世界―最悪のシナリオへの対応

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 155p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784782801147
  • NDC分類 007.3
  • Cコード C0310

内容説明

著者は、サイバネティックス革命のさまざまな危険にたいして、果敢に警鐘を鳴らそうとする数少ない監視人のひとりである。著者は、ヴァーチャル民主主義の幻想に反旗をひるがえし、抵抗への正真正銘の呼びかけを本書で発している。世界時間の加速化による精神的、政治的、文化的なもろもろの影響、すなわち電脳世界についての反省を明確な口調で語るのである。本書の白熱した対話を通して、時間の意味と、世界における私たちの現存の意味にかんする、奥深い問いの地平がひろがっていく。

目次

1 輸送の革命から通信の革命へ
2 世界の喪失、あるいはどのようにして固有の身体を見出すか
3 抵抗に入るいくつかのもっともな理由
4 起こるおそれのある戦争から回復される風景へ

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Ecriture

7
速度の思想家ヴィリリオの対談形式による電脳世界論。映画-都市の後に続いたテレビ-都市そして世界-都市に住まう世界-市民(惑星-人間)は「汝の遠くにいる人を愛せ」というニーチェの希望を達成するが、隣人を犠牲にする。労働や他者との関係を非局地化するヴァーチャル都市のドラマや悲劇に立ち向かわなくてはならない。移動速度の向上によって監獄は狭くなるという逆説、離婚やセクハラをも速度メディア(通信メディア含む)の発展による身体の近さへの嫌悪感から論じるなど徹底してドロモロジーを貫いている。2013/09/04

大ふへん者

3
ヴィリリオを読むのは二作目。リアルタイムの敷衍が絶対速度=もはや神的な権力(偏在性・瞬間性・直接性)となり未来の専制となる。民主主義者ヴィリリオは、サイバーテクノロジーの進化が民主主義に役立つとは考えない。なぜなら民主主義に必要なのは「反射」ではなく「反省」だから→「遠くにいる人を自身のように愛せ」の逆説。「今、ここ」が否定され、我々は世界の狭さに耐えきれなくなり身体=他者=世界が喪失してしまう。私はこれほど悲観視はしていないが、ヴィリリオの指摘から新たな考察の糸口も見えた。やはり時政学は面白い。2014/02/08

Mealla0v0

2
冷戦終結以降のヴィリリオの思想を簡潔に表した一冊。原著は1996年で、ここで言及されているのは主にマスメディアで、ネットではない。ただ、ヴィリリオは両者を「視覚機械」という言葉で繋ごうとしているように思う。原‐権力的な運動の力線を辿ろうすれば、テクノロジーとエコロジーの交錯、いまや当たり前になった所与としての技術を問わなくてはならない。ヴィリリオは悲観主義者と言われるが、そうではなくて、「最悪のシナリオ」を提起することで、その回避を議論しようと警告しているのだ。固有性、身体性への回帰が呼びかけられている。2018/07/12

Bevel

2
wifiがあるから、家族とリアルタイムに連絡が取れる。故郷に新幹線が走ると、街の様子はがらりと変わる。つまり速度は環境としてあるし、自由の尺度でもある。さらに速度は富の蓄積でもある。さまざまな速度を持っている地域とそうでない地域があり、そこには格差がある。科学技術はこれまで、このような速度を「加速」させてきたが、あまりに早すぎる速度(光の速度を用いるデータ通信など)は、人間にとって破局的な側面もある。個々のひとがもつ固有の身体、それを可能にするローカルな都市があり、これらの維持を考えてもいいのではないか2017/03/06

Mealla0v0

1
純粋戦争のヴァリアント概念「事故」が全域化し世界の全体性に直接的に関係するようになった背景には、「絶対速度の民主化」がある。つまり、飛行機、TV、ケータイ、ネット。そうした速度の遍在性・直接性・瞬間性によって、抑止が一元管理していた恐怖が拡散され、そのコントロールが問題となり、パニックと情動が注目されるようになる一方で、ヴァーチャルなものがリアルなものを侵食していると言う。世界戦争は世界警察を呼び寄せ、サイバー戦争が始まった。あらゆる関係のなかで位置づけられる固有の身体を取り戻すことが解決と仄めかすが……2017/07/16

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/27065
  • ご注意事項

最近チェックした商品