オデッセウスの鎖 - 適応プログラムとしての感情

オデッセウスの鎖 - 適応プログラムとしての感情

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  • サイズ 46判/ページ数 359p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784781907529
  • NDC分類 141.6
  • Cコード C1011

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Toshi53162606

8
進化論的アプローチを採用するあらゆる本の中でも、トップクラスと言っていいほどの名著。 コミットメント問題(契約を履行するという約束が信憑性をもたない状況における課題のこと)を上手く乗り越えるためには、経済学的な合理性ではなく、非合理的かつ自己犠牲的な道徳感情こそが重要であるという内容。 社会的な関係の中で感情によって自己犠牲的な行動に自らを縛り付けることが、周囲の人間からの信頼の獲得や敵への抑止力を生み、そうした性質が進化の過程で生き残ってきたことを、ゲーム理論を始めとする数々の研究結果から証明している。2022/03/21

ゆむる

2
利他的(協力的)な人々が集まれば、利己的(非協力的)な人々(協力的な人々をくいものにする人々)よりも高い利益を上げられる。利己的な人々が増え続けると、いずれは痩せた社会となる。 怒り、声を荒げないなどを美徳とする風潮は人間の高貴さを錆びさせ無機質なものへと変えていく。人は怒っていいし泣いていい、何も恥ずかしくも悪くもなく、それは美しいものだから。 多様性の寛容さを盾に反撃を許さず石を投げ続ける消費者や保護者は、社会規範の破壊に多大な貢献をしているが、寛容さの価値は絶対ではない。 目には目を、歯には歯を。2020/11/07

federao

2
もし人が利己的な行動を良いと思う遺伝子をもっていたら、人は互いに殺しあって滅亡していただろう。利他的な行動を良いと思う感情が遺伝子に組み込まれているから生存競争に残ったのだ。しかしこの論理はおかしい。利他的な群のなかで、利己的な人は利他的な人々を食い物にして繁殖できるから、お人好しの共同体は進化的安定ではない。進化は「利己的な遺伝子」(血縁淘汰)によって起こるのだ。2016/09/05

きみどり

1
怒りや妬みなどの道徳感情には、社会生活でよく直面する囚人のジレンマ状況でのコミットメント問題を解決するという、適応的な意義があったのだと論証する本。2019/01/15

NulliusInVerba

1
不合理な利他的行動、犠牲的行動に走らせ、それを持つ個体に実害しか与えていないように見える感情。だがどんな感情も、自然選択により生き残ったものである以上、それを持つ個体は、それを持たない個体よりも物質的な実益をより多く得ていなければならない。一見矛盾しているこの感情の存在を、本書はコミットメント問題を通して説明する。他の動物よりも豊富な感情を持つ人間の行動を理解する上で、必読の良書。2016/10/24

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