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出版社内容情報
御田寺圭[ミタテラケイ]
著・文・その他
内容説明
社会が「自由」を謳歌するには「不自由」をこうむる人柱が必要不可欠であり、耳あたりのよい建前の背後で、疎外された人びとの鬱屈がこの世界を覆っている。現代社会の「矛盾」に切り込み、語られることのなかった問題を照らし出す。
目次
「かわいそうランキング」が世界を支配する
男たちを死に追いやるもの
「男性“避”婚化社会」の衝撃
外見の差別・内面の差別
「非モテの叛乱」の時代?
「ガチ恋おじさん」―愛の偏在の証人
「無縁社会」を望んだのは私たちである
「お気持ち自警団」の誕生と現代のファシズム
デマ・フェイクニュースが「必要とされる社会」
「公正な世界」の光と影〔ほか〕
著者等紹介
御田寺圭[ミタテラケイ]
会社員として働くかたわら、テラケイ、白饅頭名義でインターネットを中心に、家族・労働・人間関係などをはじめとする広範な社会問題についての言論活動を行う(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
64
世界はやさしくないし、人間が平等だった事など一度もない。読んでいて思い出すのはどこかで見たこの言葉。人間は住み心地の良い社会を作るべく努力しているが、そこに入れなかった者、零れ落ちた者を丹念に拾った一冊。就職氷河期や未婚、これらは問題として認識されているが、語られるのは社会一般の声、耳障りの良い言説であって、本人らの言葉では語られない。このような社会の人柱にされた人間の言説を改めて世に出した部分に本書の本当の価値はあると思う。一方で誰もが見たくない自分のエゴイズムをさらけ出さされるような気にもなるかど。2020/09/06
金城 雅大(きんじょう まさひろ)
29
著者の当事者性ゆえに自己擁護に寄っているのでは感が若干否めない項もあるが、総じて言うべき人が言うべき事を論理立てて言っている印象だった。 社会階級上層部にいる人々にとって、下層にいる人々は本当に「透明な存在」なのだなぁと強く感じた。 これを読んでほんの少しでも居心地の悪さを感じたなら、そんな矛盾の空気に無意識のうちに侵されているのかもしれないと省みるべきではないかと思う。2019/02/04
阿部義彦
26
イースト・プレス刊です。気鋭の論客のデビュー作。武田砂鉄さんを彷彿とさせます。この世の中から有るのに無いことになっている人や事を透明化という言葉で、異議を表明しています。非婚問題、中高年の引きこもり、なかでもSNSでの「かわいそうランキング」が出色でした。かわいそうランキングでの下位の誰からも振り向かれない「かわいそう」の人々の祈りの声を拾っています。キーワードは「無縁社会」今後の活動に注目しています。2019/06/30
組織液
22
「社会が「自由」を謳歌するには「不自由」をこうむる人柱が必要不可欠であり、耳あたりのよい建前の背後で、疎外された人びとの膨屈がこの世界を覆っている」当書のカバーのそでに書かれている一文です。普段私たちが尊いものとする「自由」の裏側について述べられています。自由な社会ではあらゆるものを選択することができますが、裏を返せば誰からも選択されないものもあり、果たしてそれは差別と何が違うのか… しかしそれらの問題は核心に迫ることの社会適応度が低すぎるので、公に語られる事はほとんどありません。考えさせられました。2020/10/28
Bon Voyage
16
白饅頭氏のnoteに執筆された文章に、加筆修正された書籍バージョン。noteも購読しているが、書籍の方もかなりおもしろかった。かわいそうランキングが大きなテーマ。特に内容に惹かれたのは男性避婚化社会と非モテの叛乱の章。どちらも現代社会の抱える少子高齢化に密接しているが、未だ超克できていない価値観が内在している。MGTOWなんかは今後最も増加していきそうだ。世間的な尺度、日本的ロールモデルに当てはめて考えれば、僕も金なし恋人なし中小企業務めなので、かわいそうランキングでは下の方か。2019/01/13