内容説明
昔むかしあるところに言葉の世界がありましてその真ん中におだやかなひらがなの国がありました。ひらがなの国でおきたふしぎなお話です。
著者等紹介
原田宗典[ハラダムネノリ]
小説家。エッセイスト。小説や軽妙な文体のエッセイなどで多くのファンを持つ。『おまえと暮らせない』がすばる文学賞に入選
柚木沙弥郎[ユノキサミロウ]
国画会会員。女子美術大学名誉教授。型染めの作品を発表する一方、近年染紙、壁紙、ポスター、版画など幅広いジャンルで活躍。装幀、イラストレーションも手掛ける。ブリュッセル万国博覧会で銅賞受賞。第一回宮沢賢治賞受賞。絵本作品に『魔法のことば』(1996年度“子供の宇宙”国際図書賞受賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シナモン
146
言葉の世界にあるひらがなの国でおきた不思議なお話。「ぜつぼう」から「きぼう」へ。濁点を導いたのはおおきな「おせわ」。最後はなるほどーと唸った。昔風の言い回しと渋い色合いの絵も内容によくあってる。奥が深く素敵な一冊でした。2021/05/14
☆よいこ
65
平和なひらがなの国で、ある日、道ばたに「゛」濁点がおちていました。「ぜつぼう」についていた濁点でした。「ぜつぼう(絶望)」は「せつぼう(切望)」に変わる。ほかの文字にも嫌われた濁点は沼に沈む…。「これでよかったのだ」と呟くと、そのつぶやきは泡となり「きほう(気泡)」となり。▽個性的。高学年向け読み聞かせに使いたい。2019/09/02
つくよみ
59
図書館本:昔々のこと。言葉の世界、その真ん中にあったひらがなの国でのお話。その国では、ひらがなが連なり単語となった住人達が暮らしていた。その中の「ぜつぼう」と言う言葉に長年仕えた濁点が、日々絶望に明け暮れる主人を見かね、自分自身を捨ててくれと願い、独り身に。読めもしない、単体の「”」となった濁点は、道行くことば達に自分を拾ってくれと懇願するが…濁点の健気さがやるせなく、その行く末をはらはらしながら読み進んだ。最後、池に投げ込まれた濁点の運命は?健気さが報われる結末に、心が洗われる気分だった。2013/08/29
とよぽん
57
柚木沙弥郎(ゆのきさみろう)さんの絵が鮮やか! 起承転結の物語も素晴らしくて唸った。まさかこんなオチになるとは、原田さん凄い。日頃全く考えもしない「濁点」が主人公である。その発想たるや感嘆の限りで、ひらがなの国にもっと遊びたい心地がする。それにしても、濁点は付くことができないひらがながたくさんあって苦労の多い身の上・・・。2006年初版発刊、今は閉架にひっそり(残念)。というか、もったいない!2021/04/19
アマニョッキ
55
昔むかしあるところに言葉の世界がありまして、その真ん中におだやかなひらがなの国がありました。ところがある日、や行の町に濁点のみが置き去りにされていました。濁点は「ぜつぼう」の「せ」の字に仕えていたのですが、主人をぜつぼうから解放するために自らを道端にでも捨ててくださいと頼んだのでした。。。なんて心のやさしい濁点さん。だけど濁点だもの、誰かにくっつかないと生きていけない!そこへ「やぶからぼう」やおおきな「おせわ」など、さまざまなひらがなの国の住人がやって。。。さーて濁点さんの行く末やいかに!?2017/11/17