内容説明
「重大な知らせを伝える。それがわたしたち駅家の仕事だ」メールも電話もない時代。駅鈴を鳴らし、馬で駆け、急を知らせた人たちがいた―。近江国(滋賀県)を舞台にした奈良時代の感動ストーリー。
著者等紹介
久保田香里[クボタカオリ]
岐阜県生まれ。『青き竜の伝説』で第3回ジュニア冒険大賞・大賞受賞(岩崎書店)。『氷石』(くもん出版)で第38回日本児童文芸新人賞を受賞
坂本ヒメミ[サカモトヒメミ]
装画を多数手がけながら、様々な媒体で活動するイラストレーター(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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真理そら
56
『氷石』から数年後の駅屋の少女の物語。実在の人物や出来事も出てくるので時代背景が分かりやすくしっかりしているのが児童書らしくて良い。2020/09/29
長くつしたのピッピ
23
奈良の大仏の建立であったり、遣唐使の登場により歴史ロマンを感じる。また、和歌を想い人にさりげなく見せる場面は、万葉時代の恋愛の奥ゆかしさがありよかった。関所から関所へ親書を繋げて行く駅方は、現代の郵便や宅急便の原点で、駅方が置かれている駅家を代々守っていくことが、駅長の矜持である。面白かったのだけど、漢字の読み方が現代と違いそれを頭の中で修正しながら読んだ為、集中できず苦労した。舞台が奈良時代というのもなじみが薄く想像が難しい。2021/02/03
りー
17
主人公の少女=小里(こさと)と疾走する馬の背に乗り風を切る、爽快な物語でした。小里は、都と地方を結ぶ幹線道路に16㎞毎に置かれた馬家(うまや)を仕切る長の孫娘。馬と馬家の仕事を心から愛し「女の子のなのに」と言われながら、駅子(うまやのこ)の仕事を目指します。時は聖武帝の御代。馬家を様々な人や知らせが通り過ぎていきます。遠く渤海から帰国した遣唐使、九州の乱を鎮圧に行く兵士、大伴家持や安積親王も花を添える。東国の牧から租税や馬を運んだ東山道の息吹を確かに感じました。2020/03/10
おはなし会 芽ぶっく
11
第43回読書感想文コンクール北海道指定図書 中学生 第29回読書感想画コンクール・第5回全道コンクール 中学生・高校生 奈良時代を取り上げた本は珍しい。電話もメールも無い時代のやり取りを書いた本。奈良時代の青春物語?と言って良いのか?(笑)2018/02/11
izw
11
久保田香里の作品4冊目。奈良時代の中でも天平11年~17年、全国に国分寺が建立され、大仏の造立が始められ、大伴家持が万葉集を編纂し始める頃。中央と地方を結ぶ七道が整備され、16kmごとに配置された「駅家(うまや)」で馬を乗り継ぎ、情報を伝える「駅使(はゆまづかい)」が証明として持っていたのが「駅鈴(はゆまのすず)」。主人公は、駅家に生まれ、駅子(うまやのこ)になりたいと望む女の子。「はゆま」「うまや」という読み方になかなか慣れなかったが、頻繁にルビが振ってあり、半分くらい読み進んだところでやっと慣れた。2016/09/27