出版社内容情報
最近、がんの治療に免疫を利用することが広がりを見せ始めています。実際、免疫を使ってがんを治療すると、初期のがんは言うに及ばず、これまで手の施しようのなかった末期のがんに対しても有効だったという例が多数報告されています。しかし、なぜ免疫ががん治療に有効なのかはあまりよくわかっていません。免疫機能が自己の分子でつくられているがん細胞を攻撃できるのかという問題は、医学界の中でもほとんど議論されることがないのです。免疫療法の有効性が確認された現在も状況は同じです。本書は、免疫の働きを長年研究してきた著者が、この難問にずばっと切り込みます。今までにない免疫とがんの関係を解説した本。ぜひご一読ください。
内容説明
免疫を使ってがんを治療すると、末期のがんに対しても効くことが多い。そのため、免疫は治療の現場ですでに利用されている。しかし、なぜ免疫ががんの治療に有効なのかはよくわかっていない。免疫機能が自己の分子でつくられているがん細胞を攻撃できるのかという問題は、医学の学会などでもほとんど議論されることがないのだ。本書では、この難問にずばっと切り込む。免疫はがんに何をしているのだろう?
目次
がんとは?
がんは遺伝子の病気
がん化はどのようにおこるのか
なぜ免疫の利用が求められるのか
がんの治療に免疫を利用する
免疫とはどのようなものか
免疫における応答
免疫に役立つT細胞をつくり出す
がん抗原に反応するT細胞の由来を探る
T細胞を利用するがんの治療
課題と展望
著者等紹介
桂義元[カツラヨシモト]
1963年京都大学理学部物理学科卒業。卒業後は生物学に転じ、大学院では放射線生物学教室にて免疫学の研究を始める。1967年京都大学結核胸部疾患研究所助手。1977年同研究所教授。1997年改組により京都大学再生医科学研究所教授。この間、ヘルパー系T細胞の機能的多様性に関する研究、さらに胸腺におけるT細胞分化の研究を行ってきた。T前駆細胞の存在、造血における分化系列決定の過程を明らかにした。1991年にはKTCC(Kyoto T Cell Conference)を設立し、T細胞研究の国内、国際交流を推進してきた。2002年に定年退官。日本大学医学部客員教授、東京医科歯科大学客員教授を経て、現在は株式会社クローバー会長、サイアス株式会社会長として、免疫、がんに関連する研究のサポートを行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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