内容説明
本書では、これまで個別の問題として扱われてきたDVと児童虐待を包括的に捉え、DV加害者の親としての態度や行動に注目することで、それがどのように子どもの日常生活を侵食し、家族機能全般にいかなる波紋を及ぼすかを浮き彫りにしている。さらに、子どもが被る短期的・長期的影響を詳細に分析し、加害者が子どもに与えるリスクの評価と、加害者の変化を判定するための実用的な指針を提示したうえで、子どもの回復には母親である被害女性のエンパワメントが必要であると説く。DVや児童虐待に関わる相談機関のカウンセラーやソーシャルワーカーはもとより、児童福祉、司法や警察、医療機関の関係者などにとって、今後の支援の重要な方向性を指し示す一書である。北米児童福祉リソースセンター2004 Pro Humanitate Literary Award受賞。
目次
第1章 ドメスティック・バイオレンスの加害者とは?
第2章 「力」を行使する親―加害者の子どもへのかかわり方
第3章 衝撃波―加害者が家庭に及ぼす影響
第4章 近親姦を犯すDV加害者
第5章 回復を阻害するもの―親権および面接交渉権の訴訟における加害者
第6章 親としての加害者についての誤解―広く普及しているアセスメント理論への批判
第7章 回復への支援―加害者が子どもに与えるリスクの評価と面会プランの設定
第8章 変化は本物か?―加害者の親としての変化を評価し促進する
第9章 加害者の親としてのあり方について専門家の対応を改善する
著者等紹介
バンクロフト,ランディ[バンクロフト,ランディ][Bancroft,Lundy]
加害者カウンセリング専門家。臨床スーパーバイザー。DVがある家庭に育った10代の男児のためのグループ治療を行っているほか、親権評定者、児童虐待調査官としても精力的に活動
シルバーマン,ジェイ・G.[シルバーマン,ジェイG.][Silverman,Jay G.]
ハーバード大学公衆衛生学部助教授、同大学公衆衛生臨床学科暴力防止プログラム・ディレクター。発達心理学が専門。臨床家として加害者カウンセリングに携わるほか、研究者としての業績多数。研究テーマは、多文化社会と暴力、DV被害女性の健康問題と受診行動、DV被害女性の親権訴訟における経験と裁判での行動など
幾島幸子[イクシマサチコ]
早稲田大学政治経済学部卒業。翻訳家
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感想・レビュー
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