現代歌人文庫<br> 春日井建歌集

現代歌人文庫
春日井建歌集

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 149p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784772001977
  • NDC分類 911.168
  • Cコード C0392

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

35
耽美に息する言葉達で綴られる歌。絶対的だが不確かな現実への憎悪、秘かに燃立つ欲、その欲を反映して艶めく身体、血と暴力と精液と嫌悪と壊れたものへの陶酔。言葉で包まれた恐ろしくも耽美で窃視しているような背徳感すらも感じさせる幻想は色鮮やかにその情景を眼裏に刻み込む。2013/05/30

15
啞蟬が砂にしびれて死ぬ夕べ告げ得ぬ愛にくちびる渇く|だれか巨木に彫りし全裸の青年を巻きしめて蔦の蔓は伸びたり|くちびるを聖書にあてて言ふごとき告白ばかりする少年よ|ミケランジェロに暗く惹かれし少年期肉にひそまる修羅まだ知らず|ことばなど失ひはてむ日がくると仰げり小暗く雪の舞ふ空|喉ぼとけのけぞり眠る首抱きて星明かりの夜をサロメのごとく|余剰なるにんげんのわれも一人にて夕霧に頭より犯されゆけり|体温をもてるかなしみ儚めば月の路上をただ歩むなり|空無を映しゐたりと目とづればそのくらやみを馬走り去る2021/02/21

S.Mori

12
この本を読むまで、このような素晴らしい歌人がいた事を知りませんでした。20歳の時に発表された『未青年』の収められた短歌は硬質の詩情を感じる絶唱ばかりです。やや極端な言い方をすれば、日本語で書かれた最も美しい文学作品の一つと言えるかもしれません。「大空の斬首ののちの静もりか没ちし日輪がのこすむらさき」「海鳴りのごとく愛すと書きしかばこころに描く怒濤は赤き」『未青年』には、同じような資質を持つと考えられる三島由紀夫氏が、この歌人を絶賛した序文を寄せています。2019/09/10

はち

5
ぶっちゃけ春日井建いたら十分、っていう気がしてしまった。未青年でハマり、つい大阪で買ってしまったこの歌集。のめり込むように読んだ。歌人としてこれを越えるものが作れるとは到底思えないが、困ったら読むだろう。それほど鮮烈なことばとイメージ。全歌集欲しい。2015/03/16

madhatter

4
再読。やはりこの方の短歌は、初期作品の方が強い印象を残す気がする。短歌はさして詳しくないのだが、そもそも私の中に、短歌とは現実の情景や感情を切り取るものという先入観があったせいか、初読の際、『血忌』の如き虚構を表現した作品群は強烈だった。本人は後に「いつまでも子供っぽい夢の中に住んでいる訳にはいかない」と言うが、子供特有の現実憎悪による、一から精密に造り上げられた虚構の強さが、私にはいつまでも心に残る。2012/05/12

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/36074
  • ご注意事項

最近チェックした商品