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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きゅー
12
ボスニアのフランシスコ修道会の老神父フラ・ペタルを語り手とする連作短編集と、その他の物語が収録されている。オーストリー・ハンガリー帝国下のボスニアで生まれたアンドリッチにおいて、作品の主題となるのは分裂した祖国、民族同士の憎み合い、大国の思惑に翻弄される人々など暗い想念ばかりだ。領土を巡る諍いは長きに渡って繰り広げられ、今だに解決はしていない。彼は『サラエボの鐘』の中でボスニアのことを憎悪と恐怖の土地だと呼んでいる。ここで戦端が開かれ、ヨーロッパ中に戦火が広がった。人は他人を憎みつつ生きている。2020/11/17
hutaketa
1
[雑感]呪われた中庭はこの世界のこと。ラジョーズの法則も運命を暗示している。/旧ユーゴスラビア作家だなーと思ったのは「分裂への抵抗」という要素が見えたから。この小説では雪に覆われた世界=死という解決だったけど…。/「語り」の構造が『千一夜物語』的で、『砂の子ども』を連想した。2011/02/24
ちゃせん
0
アンドリッチの作品の中では短~中編の連作形式で読みやすい。が、味わいは長編と変わらず。歴史と物語を描き、語る手腕はやはりアンドリッチだと思った。