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光人社NF文庫
鉄の棺―最後の日本潜水艦 (新装版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 323p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784769824343
  • NDC分類 916
  • Cコード C0195

内容説明

大戦末期の日本潜水艦の非情なる戦い。伊五十六潜に赴任した若き軍医中尉が、比島東方沖の深度百メートルで体験した五十時間におよんだ米駆逐艦との想像を絶する死闘―最高室温五十度に達する閉ざされた地獄の艦内で、搭乗員たちは黙々と耐え、真摯にその職責を全うする。汗と涙の滴りを見つめる感動の海戦記。

目次

前編(伊号第五十六潜水艦;艦内生活第一日;襲撃訓練;軍港の表情;出撃に備えて ほか)
後編(表彰状;渠底;人間魚雷;猜疑;決意 ほか)

著者等紹介

齋藤寛[サイトウカン]
大正5年10月、東京小石川に生まれる。九段中学卒。昭和18年、慶応大学医学部卒。23年、厚生技官。33年、医療法人財団海上ビル診療所所長に就任。42年(財)労働医学研究会、八重洲口診療所所長、ついで理事となる。富士銀行嘱託、丸山製作所、池袋病院、前沢化成工業、日鉄商事の各顧問ほかを務める。昭和59年4月歿(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

こまったまこ

11
伊56潜に勤務していた若き軍医長の手記。戦闘や操船には関係ないせいか他の乗組員たちを一歩引いた位置から冷静かつ詳細に観察している。艦内のあらゆる配置の主だった人が登場し、それぞれに性格があり、日常の細々した会話や様子が描かれ、かなり興味深い。前半のクライマックスは爆雷回避のための50時間にも及ぶ潜航である。炭酸ガスの濃度と室温が徐々に上がっていき艦内の人間(と鼠)が極限状態に追い込まれていく。その様子がただでさえ臨場感のある文章なだけにこちらまで息苦しくなった。まさに「鉄の棺」を実感させられる話だった。2015/06/04

ぼちぼちいこか

10
著者は海軍医。潜水艦伊号五十六号に乗る。今まで潜水艦の話はいくつか読んだが、この本にはリアリティ満載で潜水艦に乗った著者ならではの五感で感じた描写が特筆だと思う。 臭い、汚れ、空気が狭い空間を身近に感じられた。後半になると回天の特攻隊員が配置されるが、その異様さ、作戦に対する海軍の非常な扱いに軍医として気持ちを綴っている。潜水艦という特殊な戦艦に乗り、同じ時間を過ごすと妙な連携感が生まれるが、配置転換の命令で壊れてしまう。著者も艦を降りることになったが終わりが尻切れトンボ感になった。2019/11/07

もちもち

4
著者は軍医なので戦闘配置にはつかないので状況を冷静に観察しているという印象。 昭和初期の人は若くてもマヨネーズやバターは好まなかったんだな。 生死を共にする鼠を簡単に殺鼠剤で殺すのは少々辛いものがあると思った。2021/01/23

ことぶき あきら

3
伊号第56潜水艦に軍医長として乗り組んでいた著者の手記。良い本でした。冒頭から、赴任の際には「うちの船へ来る人は皆こいつにぶつかるんです。」と言われた、鉄のハンドルに早速頭をぶつけ、部下の看護長からは「潜水艦の鼠は、軍医長、殺せませんよ。かわいい奴ですから。何しろ沈む時は逃げ場がないから、一連托生で、一緒にダウンする奴ですから。」と語られるなど、何やらいろいろなことが起こりそうな艦内生活を期待させます。軍医長という役職のため、当直や戦闘配置には入っておらず、比較的自由に艦内生活や合戦を観察しています。2015/03/13

スー

2
初めて軍医の書いた戦記物を読みました。やはり軍医なので潜航、浮上、魚雷攻撃等はサラッと書かれてるが、長い航海、長時間の潜航による人体への影響が事細かに書いてあり興味深かった。映画の真夏のオリオンでは長時間の潜航中にサイダーを旨そうに飲んでいたが実際はかなり不満が有ったそうで面白かった。バター飯、キュピーのマヨネーズも不評だったようで、当時は贅沢品だったろうに昔の日本人には合わなかったのかな。2015/08/10

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