内容説明
世界を驚嘆させた“真珠湾攻撃”以後、洋上作戦の主役として君臨し、戦争の様相を一変させた空母―世界最初の空母「鳳翔」以来、高度な日本の造艦技術と海軍の伝統が生みだした数多くの名艦のすべてを、米英の空母の歩みとともに徹底的に解剖し、その波乱の軌跡をたどるファン必携の一冊。写真図版百五十点。
目次
プロローグ 空母の誕生
第1章 実験空母「鳳翔」の成功
第2章 条約型空母「赤城」「加賀」
第3章 理想的な中型空母の誕生
第4章 艦隊型の大型空母「翔鶴」型
第5章 近代空母の極致「大鳳」
第6章 急造の中型空母「雲龍」型
第7章 まぼろしの超空母「信濃」
第8章 機動部隊を支えた補助空母
エピローグ 戦後の空母
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白義
13
メインは日本艦ながら、原子力空母エンタープライズまでの世界の空母の歴史がコンパクトに詰まっていていかにも「入門」らしい入門書。日本海軍と言えば大艦巨砲主義のイメージだが、当初、他の艦からの実験的改装がメインだった空母界に、颯爽と世界初の純正空母として躍り出たのが日本の鳳翔であり、空母史においてもその技術力を見せつけていたことがよくわかる。鳳翔はその後、練習艦として活躍したことも含めて、まさに空母の母と言って過言ではない。水上機母艦や航空戦艦と空母の違いなどかなり基礎的なことからわかる2014/05/06
NICK
5
人間は文明を手に入れてから、陸は言うまでもなく、海を渡る技術を編み出し行動領域を拡大してきた。陸海を征く技術が何千年という歴史を持つのに対し、人間が「空」を獲得したのはライト兄弟以降のことで、わずか一世紀にすぎない。ライト兄弟の初飛行からそれほど間を置かず、飛行機の軍事転用というアイディアが現れたのは驚きである。「空」の歴史は非常に短いのにも関わらず、航空機、またそれを運用する航空母艦が海戦の主役となり、戦艦に代わり国防の要を務めるようになったというのは戦争とテクノロジーの相互作用を改めて思い知らされる。2014/08/11
おっくー
4
戦艦入門の続きで買った本。歴史上新しい艦種である空母についてわかりやすく解説している。日本の建造技術がすごい。2014/08/01
俊毅安村
1
水上機の支援艦に始まり、通しの甲板を得て、艦橋の位置付けや、乱流を起こさない煙突の配置(海水を使った煤煙の冷却システムは知っていましたが、それを使ったスプリンクラーを採用していたのは知らなんだ)など、技術的史と戦史を中心に取り上げています。 日米共に、最初の空母がうまくいき、次に小失敗をして、傑作中型空母を作り、大型の空母に至るという流れは案外近いんですよね。、、、生産力は桁違いですが💦2020/01/23
すいみん
1
黎明期の世界の空母と日本空母の歴史がわかりました。龍驤って失敗作だったんですか…。ほんと色々試行錯誤して作られてきてるんですねぇ。改造空母周りに紙面が少ないのが不満、戦記周りの記事削ればよかったのに。大鳳の轟沈には資材不足により燃料パイプに不適合な素材を使用したのが原因というのを余所で見かけましたが。2015/12/28