内容説明
エレクトロニクス、新幹線、カーメカニックと、世界中が注視した技術開発の原点がここにある。敗戦を迎え、つばさをもがれた空技廠の面々は、焦土と化した国土から不死鳥の如く蘇り、戦後成長の一翼を担った―不可能を可能にした技術者たちの強靱な精神と研鑽と力の結集を肉声で綴る感動のノンフィクション。
目次
ふくれ上がる頭脳と技術の集団
急速に悪化する戦局のはざまで
戦時動員者のリーダーとして
飛行機を作った少年たちの自負
間一髪だった爆弾と魚雷の完成
繰り返された機体の強度試験
急がれた空中分解の原因解明
アメリカに立ち遅れた艤装技術
防御に欠かせないゴム技術の確立
風防ガラス改善のための努力
バランス感覚を欠いた設計思想
実戦に耐えるエンジンへの改良
戦闘機の運命を決定した選択
代用鋼に苦しんだ「誉」の開発
「アツタ」をめぐる生、そして死
金属材の不足を補う苦肉の策
「プラスチック」黎明期の人々
ばねが取りもった四十八年の縁
逆境の中から出発して得た栄光
「人材養成」の場としての役割
著者等紹介
碇義朗[イカリヨシロウ]
1925年、鹿児島生まれ、東京都立航空工業学校卒。陸軍航空技術研究所をへて、戦後、横浜工業専門学校(現横浜国立大学)卒。航空、自動車、鉄道などメカニズムと人間のかかわり合いをテーマにドキュメントを発表。航空ジャーナリスト協会会員。横浜ペンクラブ会員。自動車技術会会員。カナダ・カーマン名誉市民
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tsuyoshi1_48
2
「日本機は性能設計では欧米機に太刀うちできたかもしれないが、生産設計ではお話にならない」という言葉がすべて。誉然り、アツタ然り。総力戦になるほど、艤装や材質などの周辺分野での立ち遅れが顕現し、それがボトルネックとなり窮地に追い込まれていく構図がはっきりと浮かびあがります。そして敗れてなお、技術者達の奮闘の成果は戦後復興の中で芽吹いていくこととなります。航空ファンなら必読ではないでしょうか。2011/05/28
けん
1
製造業を携わるものとしては当時の技術者達の生の声は大変興味深く貴重だった2022/03/28
m_a
0
技術そのものよりも開発現場の雰囲気に重点を置いた本。海軍と陸軍の対立関係も滲み出てます。2012/06/27