内容説明
日本の海軍航空を外国機の模倣から脱却させた三菱九六式陸上攻撃機。太平洋戦争開戦劈頭、大編隊の「空中艦隊」でマレー沖の英東洋艦隊主力艦2隻を撃沈、世界に衝撃を与えた長距離攻撃機の技術と戦歴。開発経過、渡洋爆撃、改造機「ニッポン号」世界一周、落下傘部隊輸送、磁探対潜作戦、特攻…制式化以来9年にわたって戦いの空を飛び続けた非凡な名機への鎮魂歌。技術者、搭乗員ら関係者200名近くの証言と膨大な史料をまとめた決定版海軍中攻戦史。写真400点収載!
目次
九六式陸攻フォトクロニクル
第1部 九六陸攻の誕生(軍縮会議が生んだ海軍航空の異端児;中攻、部隊配備へ)
第2部 事変下の海軍中攻隊(打ち砕かれた万能機神話―渡洋爆撃の真実;事変緒戦の青年士官群像;映画に描かれた大空中戦―昭和十三年の海軍中攻隊 ほか)
第3部 太平洋戦争下の海軍中攻隊(太平洋戦争開戦当日の海軍中攻隊;マレー沖海戦、九六陸攻かく戦えり;第一航空隊外史 ほか)
著者等紹介
小林昇[コバヤシノボル]
昭和32(1957)年、神奈川県に生まれる。早稲田大学政治経済学部卒。卒業後、出版社に勤務、戦記やプラモデル関連書等を多く手掛ける。平成30年からフリーランスライター。佐藤暢彦のペンネームでも執筆(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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古本虫がさまよう
6
本書の愁眉はなんといっても、マレー沖海戦での活躍だ。英国のプリンスオブウェールズとレパルスを撃沈した勇戦だ。サイゴンから飛び立った猛者たちが撃沈したのだ。しかも、航空兵力のみで。子供のとき、集英社の4巻本の戦史『ジュニア版 太平洋戦史』--『開戦百日の栄光』『戦火もゆる太平洋』『悲風の大決戦』『原子雲わく』を愛読していた。最初の二冊目までは、まだ勝っていたのだが…。二隻が撃沈され、チャーチルが回顧録に最悪云々と記していると書かれていて、思い知ったか、チャーチルめと血湧き肉躍る読書体験をしていたものだ。 2022/02/19