内容説明
欧州・南米・アフリカ・アジアそして日本でも話されるさまざまなポルトガル語の響きに耳を傾けながら世界を歩く。
目次
第1章 ポルトガル語の航跡―漂流する言語
第2章 白黒はっきりしない言葉の話―クレオール語ミニ入門
第3章 独立への果てしなき道のり―クレオールな風は今も
第4章 ブラックは苦いのか?―アフリカが話すポルトガル語
第5章 ポルトガルサッカーA~Z―O futebol portugu^es de A a Z
第6章 染料、占領、選良の国の言葉―ポルトガル語の命運握るブラジル
第7章 マルチリンガル・ポルトガル―公用語は二つ!
第8章 アジアに生きるポルトガル語―もう一つの世界への扉
著者等紹介
市之瀬敦[イチノセアツシ]
1961年、埼玉県生まれ。東京外国語大学大学院修了。外務省在ポルトガル日本大使館専門調査員を経て、現在、上智大学外国語学部助教授。ポルトガル語学、クレオール諸語研究とともにポルトガル社会論、ポルトガル語圏アフリカ文学に関する研究もおこなう
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感想・レビュー
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ががが
5
ポルトガル語が話されている国や地域についての言語状況を著者の滞在経験などから紹介。圧倒的に英語が幅を利かせる現代だが、ポルトガル語なりの国際的な広がりを実感できる本書は、言語が国やコミュニティの成立にどう関わるかを考えさせられる。ポルトガル語を受容し、発展を遂げたブラジルと、現地の言葉とポルトガル語が対立し、足枷になっている東ティモールやギニア・ビサウの対比は言語のもつ社会的な機能を考察する上で意義深い。日本でポルトガル語話者が増えたのも最近のことに過ぎず、ポルトガル語を巡る状況の急激な変容に驚く。2023/08/09
サアベドラ
2
ポルトガル語はれっきとした国際語である。ポルトガル語を公用語にする国をルゾフォニアといい、各大陸に一国づつぐらい存在する。ただ、現在国際社会で気を吐いているのはブラジルだけで、本国ポルトガルはEUの小国に落ち込み、それ以外の国のほとんどは未だ発展途上の段階にある。今でもポルトガル語がエリート支配の道具になっている国すらある。ポルトガル人はポルトガル語が国際語であることを誇りにするが、一方で日本などで多く学ばれているのはブラジル・ポルトガル語だったりする。国際語であることって本当にいいことなのかな2011/03/28
ず〜
1
ポルトガル語圏を言語の観点から見たエッセイ。ポルトガル語やクレオール語の状況について勉強になった。アフリカやサッカーの話題も多く取りあげられていたが、それらには詳しくないので読むのに時間がかかった。著者の何事にも偏見をもたない姿勢は見習いたいと思った。2017/10/07
samandabadra
0
世界に散らばるポルトガル語の痕跡(?)を満遍なく読むのに非常によい本でした。2010/10/14