内容説明
蝿がいなければ、人はチョコレートを食べることも、心地よい世界に暮らすこともできない!?蝿たちの知られざる生態と驚くべき能力、そして人間との切っても切れない関係を、大英自然史博物館の昆虫学者が解き明かす!
目次
序章
第1章 幼きものたち
第2章 授粉者たち
第3章 分解者たち
第4章 糞食者たち
第5章 死肉食者たち
第6章 菜食者たち
第7章 菌食者たち
第8章 捕食者たち
第9章 寄生者たち
第10章 吸血者たち
終章
著者等紹介
マカリスター,エリカ[マカリスター,エリカ] [McAlister,Erica]
昆虫学者、大英自然史博物館の双翅目のキュレーター。フランス、オーストラリア、コスタリカで学んだ後も、双翅目の研究で世界中を飛び回っている
桝永一宏[マスナガカズヒロ]
九州大学大学院比較社会文化研究科博士課程単位取得退学、博士(理学)。滋賀県立琵琶湖博物館専門学芸員、双翅目国際会議評議員。専門は、双翅目アシナガバエ科の分類、系統進化、生物地理(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
82
著者は昆虫学者、大英博物館の双翅目のキュレーター。普段は厄介者の代名詞のようなハエについて様々な側面から語る。ハエといっても様々な種類がいる。死肉を食うもの、植物を食べるもの、菌類を食べるものetc。読む前はハエについてはたいした知識がなかったが読み終えるとハエとの距離が少し近づいたような気がする。序章では世界の昆虫総個体数は千京(10の19乗)とされていること、そのうち約8.5%がハエ目ということだ。ジュラシックパークに出てくる琥珀の中のカからDNAを採取するシーンの間違いについても言及されていた。2018/07/24
たまきら
31
上質の真っ白な紙に印刷されたハエの写真の美しいこと!夢中になって読みふけっていたら、あっという間に娘のバレエリハが終わってた。とにかく訳が巧い!「チョコ好きの人がハエを嫌うのはおかしい」「ジュラシックパークのあのシーンは許せない!(これ、長い間自分も首をかしげていたのでスッキリ)」絶妙な逸話に笑いっぱなしでした。極地での採集の話で大笑いしてしまい、バレエママ友に説明した時の皆さんの視線が極地でした。すっごく面白いのにな~。ウマバエを検索したら知らなかった頃には二度と戻れないですよ~。2018/09/18
タナカ電子出版
14
この本は10章からなるハエの研究者達による本です。各1章ごとにそれぞれの研究者の著書となり、どこから読んでも良いように作られています。 私がとても好きなところは中国南宋時代の宋慈と言う官僚が殺人事件をハエを用いて解決します。被害者が鎌により殺害され何人かの容疑者がしぼられます。そして容疑者にそれぞれ鎌を持ってくるように指示して何時間か待たせます。すると何匹かのハエが一人の容疑者の鎌に群がります。もちろんその鎌には帰り血などは一滴も着いていませんがハエたちはこの鎌が凶器であることを教えてくれると言う話です!2018/12/08
tom
12
ハエ族の昆虫には、ハエ、カ、ガガンボ、アブ、ブユがいる。ガガンボがどんな昆虫なのかは、ネットで確認して、ようやく了解。ブヨとブユの区別は、今もって不明。この昆虫たち、人間一人当たり、1700万匹いるそうな。まずは、このことに驚く。ついでに、私が大好きなチョコレートの原料のカカオの交配に必須の昆虫。死体も排泄物も食い尽くしてくれて、おかげで生態系は清潔に保たれる。一方で、病気も配布、血も飲む、これだけ多いと、トンデモの生態も多岐。読んでるだけで面白い。でも、この種族の昆虫を愛でる作者たちは、ちょっと怖い。2020/09/26
橘
9
その道のプロがユーモアたっぷりに教えてくれる、ハエ類の知られざる生態の数々。更に、未だ謎に包まれた部分の多い、今後の研究が待たれる生き物であることも率直に語られる。ハエ・カ・アブ…、嫌悪感を禁じ得ない種を愛して止まない研究者の、ハエ類愛が炸裂し、明日から彼らを見る目が少し変わることだろう!2018/07/29