内容説明
ゼネコンの下請けとして働く職人から、宮大工・社寺板金のような伝統的建造物に携わる職人まで、建築にかかわる37人に聞いた、ものづくり・人材育成・仕事の流儀―。建築関係者のための月刊専門誌「建築知識」誌上で連載され、大反響を巻き起こした“職人ドキュメント”の完全版。
目次
鉄であれコンクリートであれ(鉄骨鳶・湯本春美「思いやりで仕事が回る」;クレーンオペレーター・千葉清和「勝負は一本目の柱で」;鉄骨工・池田章「中途半端な人間が必要なときもある」 ほか)
裏か、表か(給排水設備・小池猛「一本一本心臓から血管をつないでいくように」;電気設備・保坂和弘「“最後”の仕事」;石工・関田嗣雄「伝説の親方」 ほか)
木と伝統に魅せられて(素材生産・塩野二郎「大事なのは人間の中身だからね」;林業・田中惣次「誰が山を守ればいいのか?」;製材・沖倉喜彦「いま、木がものすごくよく見えてきている」 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おかむら
50
面白かった! 建築関係者のための月刊専門誌「建築知識」に連載されてた職人インタビュー集。鳶や左官といったなんとなく知ってる業種もあれば、ALC建て込み、ウレタン吹き付けなど全く知らないもの、建具吊り込み、カーペット張り等そんな専門も?と思うような仕事まで、全37種類。面白いなー。給排水設備や電気設備などの設備屋さんが現場の上下関係だと下に見られがち、といった現場あるあるも興味深い。表紙のオッさん含め皆ちょいコワモテですがそれがまた良し!2017/02/01
ばんだねいっぺい
25
建設業の職人さんたちへのインタビュー集。ひとりひとりの生き様が伝わってくる内容。平行と垂直。腹蔵なく、丁寧に仕事したいと思い直した。2017/09/21
魚京童!
12
いい本だ。一本芯の入った人しかでてこない。もうそんな時代は終わる。末裔だ。しょうがないよね。これからは全自動。組み上げるだけ。難しい土地を作らないようにする。すべては碁盤の目。サイズは規格で統一して、ドローンが建てる。もう職人の出るものは趣味の世界になる。そしたら、技術が衰退する。人間は何をするのだろうか。2020/03/06
ジョニーウォーカー
11
「やりがい? そういうものは、なければないで一向に構わないんじゃないですか…」という鳶親方の言葉にガツンとやられた。彼らのインタビューを読んでみてわかるのは、仕事とはまず「飯の種」であるというのが大前提。職人としてのこだわりやプライドは、あくまで後からついてくるものだということ。一人前でもないくせにシャラクサイこと言ってんじゃねぇと叱られているような気分。確かにいま、仕事に夢や希望や好きなことを持ち込みたがる人間が多すぎるのかもしれない。自分のことも含め仕事のあり方について考えさせられる一冊。2013/03/30
makimakimasa
9
自分の仕事の川下である型枠大工や突き板屋、川上の素材生産や林業は当然興味深いが、非破壊検査など初めて知る職種も多く、建築に関わる分業体制を知れた。クレーンで鉄骨が収まると平気な顔して心の中で拍手喝采の鉄骨工、作る方は楽で良いよなと笑う解体工、鳶や左官に比べて歴史が一番浅く孔ばかり開けて立場弱いと嘆く電気設備、日本は工期管理が甘いと指摘する米国ハーフの塗装工、建築家の無茶なアイデアは申し訳なさそうに言ってくれと給排水設備、逆に楽しいと燃える建具吊り込み、ただただ楽しいカーペット張り…。段取り重要との声多し。2020/12/09