内容説明
古代ギリシャで知識人の必須のツールであった「記憶術」と、最先端の脳科学や一流のプロたちの技術習得の秘訣を学び、全米記憶力選手権で優勝するまでの1年を描いた話題作。
目次
第1章 世界で一番頭がいい人間を探すのは難しい
第2章 記憶力のよすぎる人間
第3章 熟達化のプロセスから学ぶ
第4章 世界で一番忘れっぽい人間
第5章 記憶の宮殿
第6章 詩を憶える
第7章 記憶の終焉
第8章 プラトー状態
第9章 才能ある10分の1
第10章 私たちの中の小さなレインマン
第11章 全米記憶力選手権
著者等紹介
フォア,ジョシュア[フォア,ジョシュア][Foer,Joshua]
ジャーナリスト。『ナショナル・ジオグラフィック』『エスクァイア』『スレート』誌、『ニューヨーク・タイムズ』『ワシントンポスト』紙に記事を書いている。デビュー作『ごく平凡な記憶力の私が1年で全米記憶力チャンピオンになれた理由』は、アメリカで発売後、たちまちベストセラーとなった
梶浦真美[カジウラマサミ]
津田塾大学数学科卒業。コンサルティング会社勤務を経て、フリーランスで翻訳・ライター・通訳業に携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
どんぐり
90
寄る年波に勝てない記憶力。年々、その劣化が激しい。加齢のせいにしていいのかどうか、微妙な問題ではある。というのも、スマホなどの媒体が脳内の記憶を補完してくれる便利な時代に、憶えるという行為をしなくなっているからだ。本書は、記憶力を鍛えるために、全米記憶力チャンピオンを目指す人がどんな訓練をしているのか、著者自らも挑戦したノンフィクションである。「意識的に憶えるように言われた情報を画像に変換し、よく知っている場所を思い浮かべてそれを並べる」→2023/01/21
harass
72
ジャーナリストの著者が全米記憶力選手権を取材し、記憶術を学び、ひょんなことから選手権に出場するまでのルポ。前準備なしに読み出してマインドマップの考案者がでてきて驚いた。記憶術の歴史と現代の意味合いやサヴァン症候群のことや奇妙な選手権出場者たちとの逸話や脳科学の知見など。記憶術「記憶の宮殿」の具体的な方法もあるが、もっと詳しい方法は他の本やネットで調べるべきか。自分も試してみたくなった。ちなみにこの選手権の米国のレベルは、ボブスレーのジャマイカ代表ぐらいでしかないという。米国らしさを感じる。読み物として。2018/04/29
ソーニャ
34
記憶に興味があるので読んだ。 全米記憶力選手権を取材したジャーナリストがグランドマスターのコーチングを受け翌年同大会で優勝するまでのドキュメンタリー。 単に記憶術だけじゃなくて、健忘症の人や逆に忘れることのできない人、サヴァンと記憶に関して色々な人の話があって面白かった。また、書物と記憶の歴史の章で、索引や章立てが発明され、巻物からページに変化していくことで人に求められる能力は記憶することでなくアクセス方法を知っていることになっていったというのは現代のインターネットにも通じていて興味深かった。2019/08/11
デビっちん
31
再読。記憶力を高めるために参考になる内容はないか?というのがこの本を読むきっかけでしたが、最近では記憶そのものに対する興味がつきません。私たち人間は、記憶によって形成された習慣の集合体なのですから。その習慣は記憶によって徐々に変えていくことで形成されるのですから。記憶は自分の外側にある記憶媒体に保存されることが多くなってきたことを考えると、そんな時代に自分の内側の記憶を高めることで多くの人とは違った道を歩むことができるのではないかと思うのです。2018/06/28
こばまり
26
安っぽい邦題に惑わされることなかれ。知的興奮が詰まった一冊ですよ。ジャーナリストとしての興味から記憶力選手権への挑戦を思い立ち、その舞台に至るまでの道程が記されつつも、人類の発展と記憶という非常に深遠かつ身近なテーマが事例豊かに考察されています。だからこそ筆者の挑戦に読者も興奮。“記憶の宮殿”という名称は知っていましたが本書による解説と実践でその実態への理解が深まりました。若いジャーナリストの実践モノということで読む前はかの『聖書男』を漠然と想起していましたが私は本書の方に軍配。2014/01/22