内容説明
宇宙樹はつねに私たちの身のまわりに現在している。春になるとあたりまえに花が咲くのも、植物という形をかりた宇宙的な知性のあらわれだ。人間と植物がともに花開くための新たな文明の尺度を提起する。
目次
序 「花見」の原風景
第1章 色彩の時間論
第2章 宇宙的器官としての樹木
第3章 「工」の思想/森の思想
第4章 パートナーの木
第5章 人間と植物の共進化にむけて
終章 現在する宇宙樹
著者等紹介
竹村真一[タケムラシンイチ]
1959年生まれ。東京大学大学院文化人類学博士課程修了。現在、京都造形芸術大学教授。生命科学や地球学を踏まえた新たな「人間学」を構想するかたわら、独自の情報社会論を展開。ウェブ作品「センソリウム」や「触れる地球」、地域情報システム「どこでも博物館」など、自ら実験的なメディア・プロジェクトを数多く手がける
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おさむ
37
「教授」坂本龍一さんがイチオシしていた本。樹、森、自然、地球、そして宇宙と広がっていく世界と人間がいかにつながり、共生しているか。古来の神話や東西の宗教、民俗学などの知見をうまくちりばめてます。一歩間違えると、アブナイスピリチュアル本なんですが、ぎりぎりで止まっているのが見事。2016/09/27
ありんこ
3
地球温暖化や、自然災害の多さにこれから先、異常気象で地球はどうなってしまうのかな、人間は生きていけるのかなと毎日心配している中、この本を読むと、もう少し大きな時間軸で地球をそして人間をみることができるような気がします。染色、アロマテラピー、コスメティックなど、自然とともに生きてきた人間の知恵や技術はずっと大切にしたいですね。2014/05/01
井上岳一
1
再読。この本は読むたびに発見があるが、竹村真一の詐欺師ぶりもよくわかる。年齢を経るほどに、彼の詩的なふりをした扇動的な言葉使いは受け付けられなくなる。2013/06/26
おひさ
0
人間社会にデジタルが普及して、とんでもない量の情報を扱うようになってから、効率や生産性、合理的かなどのモノサシだけで全てを測ろうとし始めた。その究極が、経済優先主義だと思う。経済という大枠の中では、必ずしも生命が優先的に扱われるわけではなく、単なる一つの部分と見なされるように思う。これは、人間が自分で自分の首を絞めている他ならない。ざっくりはしているが、昔の日本人や植物や森と暮らしている人々の世界観が多数紹介されていて、読んでいて想像力が広がるのが心地よかった。自分の木を探すことを始めようと思います。2018/07/10