内容説明
本書は、「暮しの手帖」に連載中の映画評から三十編を選び、前後に映画にまつわるエッセイを配して一冊にしたものである。
目次
世界は「使われなかった人生」であふれてる
出発するための裏切り
薄暮の虚無
にもかかわらず、よし
飛び立つ鳩を見送って
天使が砂漠に舞い降りた
焼き払え!
最後まで降りられない
官能的にしてイノセント
不可視の街で〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
コットン
67
沢木さんによる映画を素材とした32編。評論的なこと(『スピード』と『ダイハード』および『トゥルーライズ』の違いとか)もあるが、きっかけが映画だけれど素直に読者に伝わってくる素晴らしいエッセイ。:「重要なことは、どのような望みを抱くかにあるのではなく、抱いた望みを忘れないことである。」とか、沢木さんの分岐点は「丸の内にある大企業を入社式の日に退社する旨を告げた。」⬅この場合『使われなかった人生』ではなく、沢木さんには使わなかったことを惜しむ気持ちがない。…と。2018/07/16
あやめ
9
素敵なタイトルに惹かれました。「あり得たかもしれない人生」に思いを馳せるのは後悔と幻想が感じられるが、「使われなかった人生」には可能性やある種の潔さも感じました。一本目の映画を見て、その余韻が消えないよう次の映画を見るのをためらうような沢木さんの感性がすてき。映画をみたくなった。2023/02/08
mayld
9
ハリウッド作品以外が観たくなる!「使われなかった人生」は自分に今あるのか、それともこれからできるのか。「ありえたかもしれない人生」とのちがいがちょっと難しい。2011/01/09
takegen
4
「使われなかった人生」。タイトルに惹かれて借りた本。よくあの時の選択は正しかったのだろうかと思う事があるからだろうか。内容を知らずに、でも面白いだろうと勝手に思って借りたのだが、映画の書評集だった。映画は好きだ。知らなかった世界を、別の視点を与えてくれる。観ていない映画も多かったが、読んでいると目の前のスクリーンに映し出されているようだ。楽しめる。この本を読まないという「使われなかった人生」もまた存在してしまったようだけど、今「使っている人生」はなかなか良い。2014/08/30
yamamika
2
選ばれている映画が私の好みと一致しすぎていて感動でした。片っ端から全部見直したい気分。・・・年齢ばれるかな(笑)。2013/09/11