内容説明
1945年、アール・ブリュットは美術の解放を宣言した。そこには、流派も、イズムも、流行もない。世界珠玉のパリabcdコレクションより、77作家150点収録。
目次
ひとりぼっちの王国
ブリコラージュ・ブリュット
ちょっとした逸脱
精霊に導かれて
内的風景
女たちの有機形態
欲望の迷路
人生の謎をとく手がかり
人間のイメージ
ブルノ・デシャルムへのインタビュー
著者等紹介
小出由紀子[コイデユキコ]
早稲田大学卒業。展覧会の企画や書籍の編集・翻訳をてがける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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HANA
13
完全に自分のためだけの芸術「アール・ブリュット」。「日本の」現代芸術界である人物の「芸術を金に換算する」という風な発言がやたらもてはやされるような世界であり、そういう発言を聞く度にこういう完全に創作意欲に則った作品が何となく見たくなる。でもまあこれも世に出た瞬間に商品としての価値が見出されるわけで…何か難しいなあ。内容的には完全に作者の為だけの作品集。作者についてみようとしても並べ方が不便なので嫌が応にも作品だけを見せられる格好に。それにしてもやはりヘンリー・ダーガー何となく好きだな。2012/03/23
itokake
8
アール・ブリュット、障害者だけでなくアマチュア芸術家を含む。美術教育を受けた人や元画家の人は精神疾患。77人(うち、女性はたった13人!)の芸術を収録、その生涯の多様さにしびれる。表紙のHenry Dargerのように死後、絵が見つかることも。Karl Junkerは統合失調症で家を20年作り続け、ドイツでその家が美術館に。googlemapで見たらすごい。ニキフォルは母が判明、ポーランドではドラマ化。補足:ルイス・ウェインの猫の絵も、統合失調症が進行するにつれて変化。昔、本で見かけてすごい衝撃だった。2020/12/13
123456789wanko
4
アール・ブリュットすなわち「絵画の教育をうけていない者や、知的・精神的障害を持つ者の芸術作品」を概観できる良書。ヘンリー・ダーガーのような有名人から、市井の無名の人々(配管工や降霊術師など)まで様々絵を見せてくれます。そこに秘められたパワーには圧倒されます。2014/04/08
王天上
4
やはりゾンネンシュターンやヴェルフリが推しだが、知らなかった面白い作家が多数紹介されていて感激した。打率では「パラレル・ヴィジョン」のカタログより充実しているかもしれないな。2013/06/13
六波羅
3
アールブリュットの画集。僕の知らないアーティストも多数、掲載されてた。お気に入りは、幾何学的な人体を描く、クロアチアの『ヤンコ・ドムシッチ』自分の体液など利用して人体の不思議を描く、チェコの『ルボッシュ・プルニ』どこか知らない世界に咲く植物を描く、チェコの『アナ・ゼマンコヴァ』シンメトリーな建物を鮮やかな色彩で描く、フランスの預言者『ジョセフ・クレパン』アンドレ・ブルトン、澁澤龍彦に絶賛された、色鉛筆の預言者『ゾンネン・シュターン』僕の大好きな『アウグスト・ヴァッラ』は掲載されてないのが残念。