火星からの侵入 - パニックの社会心理学

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  • サイズ B6判/ページ数 251p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784761002084

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

古川

3
1938年10月、アメリカでH.G.ウェルズの『宇宙戦争』をニュース中継風に翻案したラジオ番組が放送され、これを聴いた一部の人々は本当に火星人が攻めてきたと勘違いしてパニックが起こった。本作はその当事者へのインタビューから、パニックの起きる心理を分析したものである。それは個人の能力的要因、学歴的要因、経済的要因、社会的要因、歴史的要因が複雑に絡み合って生まれたもので、単純に愚かな人間が騒いだだけであるというよくある評価を否定するものであったことは、今日の社会心理学に大いに繋がるものだった(と書かれている)2020/05/02

がんぞ

3
1938年、ミュンヘン会談で当面平和は確保され経済は大不況から立ち直りつつあるとされたが人々の心中には不安がわだかまっていた。「何があってもおかしくない」ニヒルな態度が闇雲な逃避行動などパニックの要因となる。州軍が出動を命じられた局面もあった。当時ラジオはホーム内娯楽の中心で(自動車にはなかった)、映像がないだけにドラマは想像力を掻き立てる、ことに大混乱と実在の具体的地名が挙げられると/今も変わらぬメディアリテラシー、集団心理に惑わされない批判力を社会成員に確保する問題。破滅を予言予測する宗教等の潜在危険2017/11/23

ふくろう

2
コミュニケーション論の古典。1940年代、ラジオがひきおこしたパニックの社会学(もどき)考察。宇宙人が襲来すると思い込んだ人々の純朴さも驚くが、それ以上にみんなに信じ込ませたオーソン・ウェルズの演技が見てみたい。2009/04/24

抹茶ケーキ

1
30年代のアメリカで起こったパニックの分析。どういう人がパニックに巻き込まれやすかったか、なぜそのパニックが起こったのかなど。最終的には、パニックは社会的な不安(戦争の不安、経済的な不安定感、科学の発達による不安など)の反映だという結論を出していた。量的調査と質的調査を絡めて結論にもっていく方法論には見るべきところが今でもあると感じた(もちろんそのままで使えるわけではないだろうけど)。2016/09/30

山田隆

1
1938年のウェルズの火星人騒ぎの研究報告。事件が起きた直後の研究だけに現在よく知られているストーリーとは異なる部分があるが、その中で始め意外な気がして、すぐ「ま、そりゃそうだよな」と納得したのが、パニックを起こした人達の多くが本気で火星人が攻めてきたと信じていた訳ではないという事。世界情勢がキナ臭さを増してきた時期の出来事で、ドイツが攻めてきたと思った人も多かったが、日本が攻めてきたと思った人は殆どおらず、パールハーバーがいかに当時の常識を越えていたかが分かる。2013/04/24

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