内容説明
人間の「行為」そのものに接近するラジカルな5つの論考。衣類を身につける全身の動き、食事のときの手の動き、視覚障害者の路上移動、打検士の職業的カンなど、ささやかな「行為」を生態心理学的な思考で分かりやすく解説する。シリーズの入門書。
目次
1章 運動の回復―リハビリテーションと行為の同時性
2章 行為の推移に存在する淀み―マイクロスリップ
3章 ナヴィゲーションと遮蔽
4章 形なきかたち―「複合不変項」の知覚:「ひも」の知覚を題材として
5章 打検士の技―洗練された行為とアフォーダンス
著者等紹介
佐々木正人[ササキマサト]
1952年生。筑波大学大学院心身障害学研究科博士課程中退。現在、東京大学大学院情報学環・教育学研究科教授
三嶋博之[ミシマヒロユキ]
1968年生。早稲田大学大学院人間科学研究科博士後期課程修了。現在、福井大学教育地域科学部助教授
宮本英美[ミヤモトエミ]
1973年生。東京大学大学院教育学研究科博士課程中退。現在、東京大学大学院情報学環助手
鈴木健太郎[スズキケンタロウ]
1966年生。早稲田大学大学院人間科学研究科博士後期課程退学。現在、札幌学院大学人文学部助教授
黄倉雅広[オウクラマサヒロ]
1970年生。現在、名古屋大学大学院人間情報学研究科博士後期課程
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
iwri
5
本家ギブソンの議論からは捉えにくく、誤解されやすいアフォーダンスの議論を経験的な事例にいかに適用でき、どのような合理的説明が与えられるかがわかりやすく示されている。佐々木正人氏を初めとする、日本のギブソニアンが主に例示する問題系がコンパクトにまとまっている点も良い。ただし、あくまでこれは行為論的な問題であり、アフォーダンスそのものに関しては本書付録のブックリストにある本を参照するほうが良いと思う。個人的には、行為論的に応用された本書の研究は、アフォーダンスの議論の最も豊穣な部分であるように思う。2012/06/11
KOF-JEE
0
J.ギブソンが提唱するアフォーダンスに興味を持ち,佐々木正人氏の「アフォーダンス-新しい認知の理論」に続きこの本を読んでみましたが,この本にはマイクロスリップや遮蔽,不変項など,新たな概念がまたまた紹介されていて,とても興味深い内容でした.しかしアフォーダンスは,簡単なようで,とても説明しにくい難しい概念であることを改めて認識しました.でも,この本を読んでもっとアフォーダンスについて知りたくなりました.2014/11/04
May
0
堅いタイトルのわりに内容は具体的で読みやすかった。目が見えない人が街を歩く際の知覚について書いてあるⅢ章や打検士に関するⅤ章はとくに環境の情報的豊かさにワクワクさせられた。でもアフォーダンスなどの概念的なところはよく分からなかった2014/03/07