出版社内容情報
文明が「開化した」明治の初め、妖怪、悪霊、絶滅寸前の珍奇怪獣などが北海道から九州まで万遍なく生息していた。日本を驚愕と恐怖(時には愛嬌たっぷりのヤツも出没するが)に陥れた魑魅魍魎たちを当時の新聞各紙は逐一ビビッドに報道した。本書は、当時の地方新聞80数紙を丹念に洗い出し、千数百点の事例の中からA級の事件を精選。地方 ごとの怪異現象として収録した。
内容説明
100年の時を超えて産地直送!あなたの町の怪事件。幽霊屋敷から釜鳴り騒動、河童や鬼といった妖怪たちまで。地方新聞で報道された明治の怪奇記事をついに集成。
目次
1 北海道の怪
2 東北の怪
3 関東の怪
4 中部の怪
5 近畿の怪
6 中国の怪
7 四国の怪
8 九州の怪
著者等紹介
湯本豪一[ユモトコウイチ]
1950年生まれ。川崎市市民ミュージアム学芸員
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感想・レビュー
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ワッピー
5
「文明開化のこの世の中に何で幽霊・妖怪などありましょうか?」と無知蒙昧の輩をくさしつつ、実際にはおっかなビックリ、明治9年4月から36年8月までに全国で新聞に掲載された348話を紹介。内容的には幽霊、妖怪、怪獣、釜鳴り、神隠しなど地域に関係なく伝統的な類話も多いなかで、当時の新技術である写真に幽霊が写ったという新しい話も見られます。記事も面白いのですが、巻末の掲載年表はいいですね。怠惰なワッピーには無理ですが、ちゃんと分析をすればいろいろ見えてくるものがあるかもしれません。大蛇が支店を出す話は笑いました。2016/11/10
takao
1
ふむ2021/07/19
紅独歩
0
最近「マスゴミ」なる蔑称を用いて(自分にとって)不快なニュースを切り捨てるという輩をよく見るが、この明治期絵入り新聞の姿勢を知れば、現在の報道がいかに正確なものであるかが確認されるであろう。(という一文に込められた皮肉が通じない人がいたら、それはそれで自省して欲しい)『文明開化のこのご時世によもやこんな奇譚が真実とは思えないが~』で始まって、『以上のお話、聞いたままを書いたまでで責任はとりません』というような結びで終わる。その間に挟まった『ニュース』の奇天烈なこと、いやはや楽しい一冊です。2014/02/13