内容説明
季節が春から夏へと移ろい始める卯月のある日。日本橋伊勢屋の美緒がつる家を訪れ、澪の顔を見るなり泣き始めた。美緒の話によると、伊勢屋の主・九兵衛が美緒に婿をとらせるために縁談を進めているというのだ。それは、美緒が恋心を寄せる医師、源斉との縁談ではないらしい。果たして、美緒の縁談の相手とは!?―(第三話『小夜しぐれ』)。表題作の他、つる家の主・種市と亡き娘おつるの過去が明かされる『迷い蟹』、『夢宵桜』、『嘉祥』の全四話を収録。恋の行方も大きな展開を見せる、書き下ろし大好評シリーズ第五弾。
著者等紹介
高田郁[タカダカオル]
兵庫県宝塚市生まれ。中央大学法学部卒。1993年、集英社レディスコミック誌『YOU』にて漫画原作者(ペンネーム・川富士立夏)としてデビュー。2007年、「出世花」で第2回小説NON短編時代小説賞奨励賞を受賞し、作家デビューする(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 4件/全4件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
seacalf
938
とにかく読むだけで、ひとりでに口角が上がる読み物だこと。いくらクールぶって読んでいても、いつのまにか満面の笑顔になってしまう。とはいえ今回は種市の娘さん、おつるの痛ましい事件や、美緒の結婚話とかなり切なく、いつにも増して胸を騒がす。その分、ついに正体が判明した小松原の話が収録されており、友と妹とのほっこりしたやりとりで最後を締めくくり読者を喜ばせてくれるのは、さすが。2017/10/22
zero1
840
料理で人を喜ばせる意味とは?シリーズ第五弾を再読。藪入りで再会したふきと健に涙。種市の元妻が登場。店の名前でもある娘のつるに何が?復讐と人情話は流石に上手い。翁屋で花見の料理を依頼された澪。教養はどんな境遇でも必要だと学んだ。吉原での出店を持ちかけられ悩む。さらに縁談に不満な美緒の家出騒動。この背景には倒れた源斉に寄り添う澪の姿が関係していた。加えて芳と澪に関係ある重要人物が浅草で見つかる。必死で追いかける澪。「嘉祥」は澪ではなく、あの人によるスピンオフ。あの人の妹も登場。「心星ひとつ」に続く。2019/07/04
yoshida
794
みをつくし料理帖5作目。江戸の市井でそれぞれが何か事情を抱えながらも懸命に生きる姿が暖かく描かれています。本作では物語が大きく動きだした。「迷い蟹」での種市の過去と苦しみ。「小夜しぐれ」での失踪した佐兵衛との偶然の邂逅。そして美緒と中番頭である爽助との婚礼。源斉先生への想いを絶ちきり、爽助との結婚を選んだ美緒の決意。美緒の成長を感じた。二人で幸せを掴んでほしい。「嘉祥」で小松原の真の姿と澪への気持ちが分かる。これから二人はどうなるか。登場人物が懸命に苦難に挑み成長する姿に前向きな気持ちを貰える名シリーズ。2016/05/03
AKIKO-WILL
775
澪と美緒の2人の恋に大きな展開が…上手くいかない2人の想いが切ないです。そして、野江ちゃんとの方にも新たな展開がありますね。吉原で野江の側で働くのか?揺れ動く澪ですが、まさかの指が…そして、最後の方が小松原目線で書かれていた章があり、違う目線から書いてあるのも新鮮でした。2015/12/20
射手座の天使あきちゃん
763
選んで安全・読んで安心、心無い人にも漏れなく熱い涙をお届けする「みおつくしシリーズ」第5弾(笑) 野江ちゃん、美緒さん、それぞれに切ないお話ですが、今回のツボは小野寺(小松原)様の母上と妹君、二人を襲った悪党の頭が命乞いしたほどの凄腕とか(爆) なぁんかさぁ最後、下り眉にいい風吹いてねぇ!? 次回が楽しみぃ!!(笑)2011/05/04