内容説明
『供花』から『土間の四十八滝』、未刊詩(三篇)、書き下ろし最新作(五篇)まで九十五篇を収録。著者自選による、待望の文庫オリジナル版。町田康の美しく、熱く、危険な、ことばの軌跡。
目次
不義は頭脳を
プラチナの釈尊
倖いである
四国西国
どれい鍋でも
愛染かつら
先生の印象
コマーシャル
飯をもらう
スラムに雑草〔ほか〕
著者等紹介
町田康[マチダコウ]
小説家、パンク歌手、俳優。1962年、大阪府生まれ。高校時代より町田町蔵の名で音楽活動を開始。81年、INUで「メシ喰うな」を発表。97年、処女小説『くっすん大黒』で野間文芸新人賞、Bunkamuraドゥマゴ文学賞を2000年『きれぎれ』で芥川賞を、01年『土間の四十八滝』で萩原朔太郎賞を、02年『権現の踊り子』で川端康成賞を受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えりか
47
悲しみを嘆いているわけではない。命を慈しんでいるわけでもない。愛を讃えているというのとも違う。美しいわけでもないし、繊細でもない。かといって力強く生命力に溢れているという感じでもない。あえて言うならば、人生のろくでもなさを楽しんでいるように感じる。ろくでもないのはかっこいい。そして面白い。ろくでもないのはたまに悲しいけれど、そんなことはわざわざ言わない。ろくでもないのは汚いけれど、なぜだか楽しい。一つ一つの言葉がリズムにのっていて、面白い。というか、伝わらなくてもかっこよければ、それでいい。それがロック。2016/11/23
Y2K☮
34
率直に云おう。91%意味不明(笑)それなりに本を読んできたつもりだがそんなの無効。町田康の前だと人類皆平等。だって誰も分からんでしょ。海外文学の原書の方が明快と思える日本語の本に初めて出会った気がする。この中の幾つかが後に小説や楽曲に昇華したのかな。だが恐るべき吸引力。読了したページをつい又捲ってしまう。そうか意味不明なのは他者に伝えるべき意味など無いからだ。身の周りで感じた一切を内側からの己だけの言葉に忠実に変換したら、そりゃ置いてけぼり。誤読を文学化した唐十郎、或いは宮沢賢治の心象スケッチに近いのか。2018/11/13
苺畑序音
23
入院中は詩や散文がいい気がする。2019/03/06
ndj.
14
町田康のまえに感想なんて出てこない。小説でも、エッセイでも。ましてや詩集なんて。ただもうわたしは中毒になっていていつまでもいつまでもこの無責任な文字のつらなりを眺めていたいと思う、それだけ。2017/02/09
Yusuke Oga
14
「古池や/南無なにもかも/泡だらけ、/であった。であった。であった。であった。と四回も云ってから俺、入水。 」というような言葉の運びが、ただただうれしい。「具付きサングラスというのはどうだろう。いや駄目だ。夏など腐敗して臭くてたまらぬだろう。その用途すら明確でないのだ。愚かなことだ。」とくに内容に意味はないんだけれども、運びかたそのものが光っている。廃人や酔漢のつぶやきみたいに、ぜんぜん脈絡はないけれども、どこからでもゆらっとはじめられてしまう気配がやはり町田康の凄みだと思う。自由な詩。2014/06/27