内容説明
日本・イギリス・ドイツ・スイスの4国で起こった戦前外交の秘史を追う、ふたりの外交官。4つの事件は真実なのか、つくり話なのか―。ヨーロッパを舞台に秘密外交官の暗躍を描く、日本昭和史の物語。
著者等紹介
赤城毅[アカギツヨシ]
1961年生まれ。東京都出身。1998年『魔大陸の鷹』三部作でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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マムみかん(*感想は風まかせ*)
33
昭和の終わりに、元外交官だった老紳士が語る日本外交秘話。 太平洋戦争前夜から終戦までの歴史的事件や事実を背景に、実在の人物がバンバン登場するリアルフイクション。 主役のホームズ・ワトソン的な外交官コンビは架空のキャラですが、あの困難な時代にあっても真っ当な感性を持ち続けていた、多くの外交官の代弁者のような存在として描かれたのでしょうね。 どこまでが真実なのか分からない物語ではありますが、戦争を回避し、少しでも速く終結させようと奔走していた無名の人たちは大勢いたのだと思います☆2013/08/28
onasu
33
著されていない歴史の背景に、人物Xを仕立てて秘話を構成する。 昭和末、銀座の馴染みの小さなバーで、読んでいた戦前の外交史の本をきっかけに、老紳士から話し掛けられた。元外交官という津村老人とは、その後も顔を合わせる度、戦前戦中のことを論じるように。老紳士の話しは、体験者特有の眼差しはあるものの、回顧談といった風。が、5、6度目、これまでとは違う表情の津村老人は、今までは品定めだったかの如く、俄かには信じられない秘史を語り始めた。そこには、歴史に名を成さぬひとりの人物がいた。 読みがいのある好著でした。2013/02/24
岡 幸治
18
「この天皇の代理人」以外は実在の人物なのでしょうか?時代考証もしっかりされているようで興奮しながら読み終えました。この内容が事実かどうかは別として、戦争の早期終結を計ろうと動いていた人たちは史実の裏に隠れてしまってますがいたのだと思います。地味な筆致の本でしたがとても楽しめました。2014/02/11
ren5000
15
昭和初期から戦争後ぐらいまでのお話なんだけど、自分も昭和生まれなのだが昭和の時代の前後期でこれほどまでに日本って違うの?っていうぐらい違うのが実感できます。物語はどうしても「ジョーカーゲーム」と比べてしまうのでちょっと軽くて弱い気がしますが、実在の人物がポロポロ出てきてwikiと照らし合わせて読んだらより楽しく読めました。2013/03/22
えと
12
面白かったです。ミステリー、スパイもの、ちょっとした冒険ありの、戦前、戦中の物語。要人も出てきます。作家さんご本人が歴史家ということもあり、要人の描き方から評価がわかります(笑)それも一興。派手さはないですが、「歴史のスキマ」を見た感じで、私は好きです。キム・フィルビーも名前が出てきて、逢坂剛氏のイベリア・シリーズのキム!とちょっとした再会もありました。2018/11/22