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内容説明
「わたしは天野遠子。ご覧のとおりの“文学少女”よ」―そう名乗る不思議な少女との出会いから、二年。物語を食べちゃうくらい愛するこの“文学少女”に導かれ、心葉は様々なことを乗り越えてきた。けれど、遠子の卒業の日は迫り、そして―。突然の、“文学少女”の裏切りの言葉。愕然とする心葉を、さらに流人が翻弄する。「天野遠子は消えてしまう」「天野遠子を知ってください」―遠子に秘められた謎とは?心葉と遠子の物語の結末は!?最終編、開幕。
著者等紹介
野村美月[ノムラミズキ]
福島出身。幼い頃より「物語」を作るのが好きで、作家を目指す。『赤城山卓球場に歌声は響く』で第3回えんため大賞小説部門最優秀賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちはや@灯れ松明の火
76
哀しくてたまらないときに綺麗に笑える人になりたいと願ったひとがいた。傷ついた心を包み込んでくれた手を時に邪険に振り払いながらも、ぬくもりに甘え続けていた。気付こうともしなかった、その指先もまた、必死で光を求めていたのだと。募る言葉を隠して狭き門へと遠ざかる細い背中、自分ではない面影をかき消せないもどかしさ、誰かを救うために誰かを壊す狂気、前を向くことに怯え立ち竦む弱気が模索する逃げ道。ただひたすらに貫こうとする意志が互いを蝕んでいく。辛くて苦しくても、あのひとはまだ笑おうとする。泣き顔よりも、哀しく。 2011/06/16
Yobata
75
美羽との一件が落着し、ななせとの距離も大分近くなった心葉。しかしその中で遠子が「青空に似ている」のラストを知っている訳をいまだ疑問に思う。そんな時に編集担当だった佐々木さんが心葉の前に訪れ二作目を書いてほしいという。もう書かないと断ると、遠子まで現れ、書かなければいけないといい心葉の前から姿を見せなくなる。裏切られたと思った心葉のもとに流人が現れ、遠子とくっつける為、ななせとの交際の妨害工作をしてくる。流人が言うには「天野遠子は消えてしまう」「天野遠子を知ってください」という。天野遠子を全く知らなかった→2013/09/05
ひめありす@灯れ松明の火
72
あらゆる書物を食べてしまう程に深く愛している文学少女が物語の読み手故に隠していた彼女自身の物語。彼女は物語を裏から操る黒幕だったのだろうか。だからこそ、過剰に自分自身の想いを微笑みに閉ざせるよう願ったのだろうか。遠子が自分自身の物語を託した心葉。彼は今狭い門の前で立ち竦んでいる。力に怯え逃げている。先輩と彼女。どちらの手を取れば良いのかを迷うことで。自らの行く道を選ぶ命題から。読み手として書き手として存在してゆける自分の力から。もうすぐ消えてしまうと宣告された文学少女。全身全霊をかけた彼女の物語が始まる。2011/10/25
しずく
65
冬になると再読したくなる本。何度読んでも脆くて危なげで壊れやすそう流人くんが好き。叶子さんがちゃんと流人くんを愛してあげたらいいのに。遠子先輩を受け入れてあげたらいいのに。「僕が書いたものを全部、残さずに、いつも食べてくれましたよね」シュークリームのシーンは一番好きなところ。心葉くんの想いがわかって安心する。ヘタレだけど優しい少年だ。7巻は格別、他巻より狂気を孕んで進み、残酷で、しかしとても脆弱で儚いという印象。文学少女特有のシリアスは読んでいてヒリヒリするから私は大好きです。2015/01/22
寂しがり屋の狼さん
61
”文学少女”シリーズ最終章📚️アンドレ=ジッドの『狭き門』が物語の軸です。今まで、あまり語られなかった子供の頃の遠子先輩や両親、流人君との関係などが綴られてます。物語は下巻に続くので感想はここまで…(笑)(*^.^*)2019/11/04