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内容説明
あたしたちが何を望んでも、世界は世界の都合でしか動かない。あたしたちのささやかな永遠も、血も涙もない時間に踏みにじられる。不死の少女と出会った、殺人者の少女とその恋人。奇妙な三角関係が織りなす変わらない日常のリアル―。
著者等紹介
扇智史[オウギサトシ]
静岡県出身。京都で大学生活を送りつつ作家を目指し、卒業の年に応募した第5回えんため大賞にて、編集部特別賞を受賞。特異な世界観の中に、十代の日常を鋭く切り取る期待の俊英(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
そら
10
感情の存在しない男の子と人殺しの女の子との間に突然現れた不老不死の女の子との三角関係。当たり前のようにあった関係が、歪な三角関係になって崩れていく。このチョコレートの向かう先。自分が凍ってしまえばいい、言葉にしてみれば全て嘘になる……バレンタインデーに読むと、バレンタインデーがとーーっても暗い日になることうけあい。少しまどろっこしくて厨が入っている文体が、だけれど心地よくて好みでした、人は選ぶでしょうが、自分はこの作品をすごく評価します。2013/09/09
ささやか@ケチャップマン
9
殺人を続ける少女と不死の少女という現実離れした設定を持ってくるのだが、本題はそこになくて乾いた心の機微がメイン。今読んでも響かなかったが、中高生の時分に読んだら好きになっていただろうなと思う一冊。イラストは表紙がよく、カラーの口絵も及第点だが、中の挿絵は微妙だった。2015/10/17
サエズリ割津
7
人を選ぶ話ですが好みにどストライクでした。殺人鬼のヒロインとその恋人それと死なない少女の摩訶不思議な三角関係を描く話。この物語の起伏なんてものはないに等しく、終わりも始まりもない。ただただ狂気や憂鬱や嫉妬などの思春期に誰もが持つであるであろう負の感情を濃くしたような、それこそチョコレートのような色の日常が流れるだけの話なのだと思う。タイトルも秀逸だし装丁も特徴的でよかった。この作者の別作品も読みたい。2016/03/14
アツシカ
6
透明な諦観と曖昧な絶望。諦観も絶望も命を絶つには足りなくて、だらだら日々は続いていく。甘いのか苦いのか最後まで判断に迷いますね。氷漬けにされてなお劣化していく価値は言葉にできないけど、では言葉にしなければ本物なのか?2018/12/28
ナコち
6
日常に溶け込み過ぎた非日常。メタ要素は全て理解出来るものではないけど、影響を感じる。世間では非日常でも二人には日常で……そんな中に投じられた更なる非日常に、翻弄されてしまう。殺人があまりにも触れられず、かと言ってもっと頻繁にこなすわけでもない。方向性が甘くオチが弱く感じる。設定や雰囲気は好きなだけに惜しい。2014/05/06