出版社内容情報
海外ミステリの翻訳がまるごと学べる!
語学・翻訳に興味がある人から、翻訳のプロを目指している人、また翻訳者としてのレベルアップをはかる人におすすめの「アルク翻訳レッスン・シリーズ」。シリーズ第2弾は、海外ミステリ小説の翻訳技法がたのしく学べる『ミステリ翻訳入門』をお届けします。
翻訳ミステリでは当代切っての人気翻訳家が、翻訳に対する心がまえや翻訳に必要なツール、文芸翻訳の技法などをおもしろおかしく伝授します。課題はローレンス・ブロックをはじめとする英米の人気作家によるミステリが素材。すべてに実際に出版された訳書からの対訳例と小気味好い解説が盛り込まれています。翻訳の真のたのしさとむずかしさをじかに味わうことができる、魅力たっぷりの一冊。
★海外ミステリの謎を解くカギはあなたの翻訳にかかっている!
●数々の新人を世に送り出した著名翻訳家に聞いた
Q1、翻訳家デビューのチャンスを与えたくなる新人とは?
Q2、ぜったいおまえにチャンスなんかやるもんか、と思う新人は?
●文芸書編集者に聞いた
Q3、使ってみたい新人翻訳者とはどんな人?
Q4、絶対に使いたくない新人翻訳者は?
すべての答(ミステリ)は本書を読めばわかります。
翻訳家への道を踏み出す第一歩は千差万別、翻訳家を志望する理由も十人十色。「ミステリ翻訳でもちょっと?」こんな軽い気持ちで翻訳を始めるのもいいかもしれません。さあ、あなたの翻訳体験はここから始まります。
著者:田口俊樹
発売日:2002年6月20日
本のみ(210×148×15mm、187ページ)
[著者のことば:田口俊樹]
翻訳を始めて二十五年になりますが、その間、一度も飽きたことがありません。でも、これは私だけのことではなく、私のまわりの同業者もみな同じことを言います。ということは、たまたま飽きっぽくない人ばかりが集まったのか、それとも翻訳その ものにそれほど人を飽きさせないものがあるのか、あるいはその両方、ということになりますが、私は飽きっぽさにかけては、自慢じゃないが人後に落ちない。ということは、やっぱり翻訳にそれだけ魅力があるということになるんじゃないでしょうか。そういう翻訳の魅力を少しでも伝えたくて書いたのが本書です。それから、これはちょっと口はばったいけれど、翻訳の指南書というとどうしても、翻訳かくあるべし、という論調のものが多い中、翻訳は自由だ! ということも言いたくて書きました。本書を読んで、翻訳に対する興味を深める読者がひとりでも多くいたら、著者としてそれにまさる喜びはありません。
[目次]
◆「出版翻訳」の概要と本書の特徴
◆Introduction ミステリ翻訳ことはじめ
1.出発点は「翻訳でもちょっと」
2.「黒子」はよき翻訳者か?
3.ミステリの翻訳――「参考」日英対訳警察組織表
4.これだけはそろえておきたい翻訳者のツール
5.デビューのきっかけをつかむ
6.平均的翻訳者の平均的生活
7.「訳者あとがき」について/D・ベニオフ作『25時』「訳者あとがき」
◆Chapter 1 ミステリの翻訳 腕試し編
既刊の秀作から翻訳の技法を学ぶ
Lesson1「かっこいい訳」より「いい訳」をめざす
TEXT●ローレンス・ブロック作『殺し屋』
Lesson2 細部にこだわりすぎることなく作品全体を見極める
TEXT●デイモン・ラニアン作『おい、しゃべらない気か!』
Lesson3「口語表現」を恐れることなかれ――配慮すべきは「簡潔」「明確」な描写
TEXT●ダグ・アリン作『鎮魂のビート』
Lesson4 文芸翻訳の極意は自分の「好きに」訳すこと
TEXT●ダグ・アリン作『ゴースト・ショー』
Lesson5 プロとしての心得――プラス・アルファのある翻訳
TEXT●ローレンス・ブロック作『泥棒はライ麦畑で追いかける』
◆Chapter 2 ミステリの翻訳 実践編
ストーリーを追いながら長篇ミステリの翻訳レッスン
TEXT●ロバート・キャンベル作『鉄道探偵ハッチ』
●TEXT――主な登場人物/ストーリーの展開/SCENE ①②③
●解説
●完訳――SCENE ①②③
◆Chapter 3 ミステリの翻訳 応用編
短篇ミステリをまるごと翻訳する
TEXT●マイクル・Z・リューイン作『強欲者たち』
Maxim Jakubowski編『ロンドン・ノワール』から
●原文
●解説
●完訳
Column 1 翻訳家と英会話
Column 2 いまめざすべきは「超訳」にあらず
Column 3 恥ずべき「誤訳」と誠実な「誤訳」
Column 4 翻訳に"賞味期限"はあるか?
Column 5 "あんた"について
Column 6 "自分の文章リズム"は翻訳に必要か?
◆Appendix そろえておきたい辞書&ミステリ翻訳参考書
◆あとがき
内容説明
本書は翻訳学習のスタート地点にいる人のために、実践的な翻訳の技法を紹介するものである。Introductionでは、出版翻訳に対する心がまえを中心として、出版翻訳、特にミステリ翻訳の概要、特徴、必要なツール、プロとして仕事をするうえでの心がまえを述べ、さらに翻訳者の実際を垣間見ることのできる「訳者あとがき」について紹介。第1章では、既刊の著名な作品を題材にした演習を行う。第2章は、長篇作品を課題に、ストーリーをさらに読み込みながらの翻訳レッスン、第3章では、新作の短篇を全篇翻訳することに挑戦する。
目次
Introduction ミステリ翻訳ことはじめ
1 ミステリの翻訳腕試し編―既刊の秀作から翻訳の技法を学ぶ
2 ミステリの翻訳実践編―ストーリーを追いながら長篇ミステリの翻訳レッスン
3 ミステリの翻訳応用編―短篇ミステリをまるごと翻訳する
著者等紹介
田口俊樹[タグチトシキ]
1950年、奈良市生まれ。早稲田大学第一文学部英文科卒業。英米文学翻訳家。大学卒業後は都内の中堅出版社に就職。書籍編集や系列の児童劇団でシナリオ執筆といった諸々の仕事を経験するが将来を案じ、都立高校の英語教師となる。その頃、英語力を磨くためなどの理由から翻訳を始め、以後兼業すること11年。訳書が20冊を超えた37歳の時、高校教師を辞め、翻訳家業一筋に。ローレンス・ブロック作の「アル中探偵マット・スカダー」、NYの「泥棒バーニイ・ローデンバー」両シリーズ、ル・カレ『パナマの仕立て屋』など、現在までに手がけた訳書は約150点。海外作家の原文の旨みを平明な日本語で写し出す軽妙な翻訳が持ち味。贅肉がそぎ落とされ熟練の域に達した翻訳は、最近の話題カルトミステリ、ボストン・テラン作『神は銃弾』でも実証されている。ミステリからノンフィクションまで幅広いジャンルの文芸翻訳を手がける傍ら、早稲田大学、フェロー・アカデミーの講師を務め、その穏和な人柄と肩の張らない身のこなしで生徒からの人望も厚い
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