内容説明
本書はサリンジャーの作品全体を、いわば正面からとらえなおそうという試みであり、初期の短篇の紹介から『ライ麦畑』、『ナイン・ストーリーズ』を経て、「グラス家物語」にいたるまでを正攻法で論じている。作品をひとつひとつ読みなおし、書いていくなかで、いくつもの発見があった。これまでサリンジャー作品に親しんできた読者にも、新しい視点がひらけたという思いをもってもらえるのではないか、とのひそかな自負もある。さらに、この本は登場人物や引用作品、作家、映画などのリスト、年表など、資料を検索するという「イエローページ」本来の特質をかねそなえている。また随所にちりばめられたコラムは、ややもすると作品の内部にばかりとじこもりがちな筆者、読者双方の心をひらき、発想の転換をうながしてくれるものと期待している。
目次
第1章 初期の短篇
第2章 ライ麦畑でつかまえて
第3章 ナイン・ストーリーズ
第4章 グラス家物語
第5章 イエローページ