内容説明
目の病気から全盲になった男性が、地元小学生に助けられながら続けた、バス通勤。「バスが来ましたよ」その声はやがて、次々と受け継がれ…。温かい小さな手の、そして小さな親切の物語。
著者等紹介
由美村嬉々[ユミムラキキ]
1959年三重県生まれ。(一社)チャイルドロアクリエイト代表理事。作家、編集者、絵本コーディネーター。全国で講演活動も行っている。老舗の児童図書・保育図書の版元で取締役を務めた。在任中は、編集部長・企画開発本部長、東京家政大学特任講師等を歴任。JPIC読書アドバイザー、絵本学会会員、絵本カタリスト
松本春野[マツモトハルノ]
1984年東京都生まれ。画家、絵本作家。多摩美術大学油画専攻卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
岡部敬史/おかべたかし
129
いい絵本でした。目の見えない人に「バスが来ましたよ」と言って付き添って乗ってあげた小学三年生。その子が卒業した後も、その付き添いのリレーが続くというお話。創作ではないから最後に大きなドラマがあるわけじゃない。でも最後、これが実話であったと知ること以上のドラマはないでしょう。2022/11/22
seacalf
125
実話を元にしたじんわり温かい気持ちが広がる絵本。白杖を持った目の不自由な男性はバスに乗って職場に行くのも不安でいっぱい。乗り損ねてしまった経験もあり、乗車中も緊張で身を固くしている有様。そんなとある日、小さな手を添えられて声をかけられた言葉が「バスがきましたよ」。柔らかな絵のタッチと相まって、この年頃の無垢で善意な気持ちが擦れっ枯らしになった心を洗ってくれる。ひとりの女の子の優しい行動が次々とバトンをつないでいくかのように続いていく。この素敵な話が実話だなんて涙腺がゆるくなっちゃう。ほっとできる良い話だ。2022/12/05
chimako
108
目の見えない男の人が練習をして一人でバスに乗り仕事に行く。緊張の連続で冷や汗をかく。5つ目の停留所まで必死で耳をすませ降りる停留所を間違えないようにする。そんなある日、「おはようございます」と小さなかわいい声が聞こえる。「バスがきましたよ」と腰を押して誘導してくれる。降りるときは知らせてくれる。職場の前の横断歩道まで一緒に歩いてくれる。そんな毎日に緊張が緩む。仲良くなる。休むと心配になる。季節は進みやがて女の子は卒業。今度は妹がその役目をバトンタッチ。温かい実話をもとにした絵本。素晴らしい。2023/01/13
おくちゃん🌸柳緑花紅
107
小学三年生の孫娘が読書感想文用に購入した本。目が見えなくなっても仕事をする。そのための一年間の杖の練習。孫娘は大変な決意と努力に凄いねって言っていた。。そしてバスに乗り遅れたりする様子を見て小学生の女の子が「バスが来ましたよ」と声をかける。たった一人で始めたこの行為がリレーされ10年も続けられたという実際にあったお話し。孫娘は「私も困っている人に気付いたら優しく声を掛けられる人になりたい」と感想文に書いていた。私も同じように思った。 2023/08/20
ぶち
98
全盲になった男性が小学生に助けられながらバス通勤し続けた実際にあったお話です。最初に声をかけたのは小さな女の子(さきちゃん)。「おはようございます」「バスが来ましたよ」。そして、バスの乗り降りを助けてあげたのです。さきちゃんは毎日声をかけ続けたくれました。その声かけは、三姉妹の妹たちへ繋がれていき、さらに、それ見ていたお友達へとリレーされ、10年も続いたそうです。優しいタッチの絵は、小学生たちに支えられた男性が心の中で描いた風景のようにも感じました。最初に声をかけたさきちゃんの勇気にも拍手したくなります。2023/11/01