内容説明
戦争で空っぽになった動物園に、動物たちを!船の上で死んでしまったシマウマ、飼育箱からにげ出したダチョウ、荒れくるう海…さまざまな苦難をこえながら62頭の動物たちと約2ヶ月かけて、アフリカから日本までを旅した、実話を基にしたお話。
著者等紹介
いちかわけいこ[イチカワケイコ]
1964年千葉県生まれ。保育園、養護施設に勤務後、嫁ぎ先で農業に携わる。地元の小学校、ブックスタートでお話ボランティアに参加。この本だいすきの会会員。神奈川県在住
村田夏佳[ムラタナツカ]
1990年茨城県生まれ。イラストレーター。東京工芸大学芸術学部デザイン学科にて、谷口広樹氏に師事。愛犬の柴犬を題材に、イラスト制作を始める。生き物と自然を題材にした水彩画を制作し、書籍や雑貨のイラストを中心に活動している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶち
95
戦争で動物がいなくなった動物園にアフリカから動物たちを運んでくる船に偶然乗り合わせた大学生が体験した実話に基づく本。読者も過酷な船の旅を追体験できます。しかし、それにしても戦争とはなんと惨いものでしょう。物資が乏しいからといって動物たちをすべて殺処分してしまうなんて。戦争によって奪われたのは人命だけではないということにあらためて気づかされます。平和な時代の今の動物園の存在意義とか、遠くの地から連れてこられた動物たちのこととをあらためて考え直すことが必要だと思いました。2023/07/30
ぶんこ
40
戦後、空っぽになってしまった動物園に、ケニアから動物たちを移送する船に乗り合わせた大学生が体験した実話。出航間際にマラリアで倒れてしまった飼育員を助けた大学生が、一人で世話をすることになった香川さんを手伝う。シケで食欲を無くすカバの夫婦。船上では貴重な真水をかけ、見守る香川さん。反対にどんなにシケても元気いっぱいのダチョウ。幼い時に犬に襲われ、動物が苦手だった山本さんが動物たちに懐かれては悲鳴をあげるのが微笑ましい。40日以上の間面倒を見てきた動物たちとのお別れ。涙する山本さんとシュン。貴重な体験。2022/12/09
空猫
31
昭和30年頃。日本は、「戦争で空っぽになった動物園に再び動物を迎え入れる」ー再開させるべくアフリカから「貨客船」で動物たちを運ぶ計画。その船に乗り合わせた2人の青年も世話をすることに。その体験を令和の今、当時青年だったおじいちゃんが、孫に語りかける…動物嫌いの友人、毎日のフンの掃除、停泊する度にかき集める食料と水、脱走するダチョウ、不調になるカバの夫婦…とその内容は一生懸命で、滑稽であり、児童書なので読みやすかった。けれどこれも戦争の悲しみの一部なんだよね。それを忘れずに読まないとね:-(2023/08/14
ケ・セラ・セラ
27
戦争で空っぽになった日本の動物園にアフリカから動物たちを運ぶ船に乗り合わせ、世話を手伝うことになった主人公。筆者の父の実話を基に書かれた作品。仲間から引き離され、遠い地まで狭くて揺れる船での長時間の移動。動物たちのストレスは相当なものです。そしてその動物たちが少しでも過ごしやすいよう環境を整え世話をする飼育員さんたちの苦労。多くのものを失った戦争から、平和を願い、子どもたちに笑顔を届けるために尽力を尽くした人々。穏やかに動物たちが草を食む、そんな世界であることを願う作品。2022/10/06
みさどん
23
戦後、日本にいない動物を運ぶための船に乗り合わせた大学生の話。実話に基づいていて、動物たちの知られざる様子が描かれている。冷蔵庫や空調がなかった時代は本当に大変だったろう。運ばれた子たちの子孫が今、幸せに動物園で暮らしているはずだよな。2022/11/18