内容説明
都内の中高一貫校に、編入した真は中学3年生。スラックスをはいた女子梨々と出会い、極秘で「全国学生チェアデザインコンペ」に挑戦することに…!中学生としては前代未聞の、この勝負の行方は?椅子デザイナーをめざす少年の、熱い夏の物語。
著者等紹介
佐藤まどか[サトウマドカ]
イタリアでプロダクトデザイナーとして活躍する一方、『水色の足ひれ』(第22回ニッサン童話と絵本のグランプリ大賞受賞・BL出版)で作家デビュー。イタリア在住。季節風同人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mocha
93
イス大好きな中3の少年と少女が出会い、チェアデザインコンペに挑戦する。主人公がお利口過ぎるのは気になるが、進路を考え始める世代の参考になりそう。夢を形にするためにどう舵を取っていけばいいか、今できることは何か…。この父親は極端ではあるが、多かれ少なかれ乗り越えるべき壁は誰にでもある。心地よく寄り掛かれるイスのように、もちつもたれつの人間関係の角度を見つけていく成長物語。校内でのドラマがもう少しあってもよかったのでは?2018/03/29
chimako
91
2018年度読書感想文コンクール課題図書。当時は良く借りられていて読む機会がなく今更読了。サクサクと読めて面白い。父と息子の関係や病弱な弟への意地悪な思い、椅子職人だった祖父へのリスペクトと自分の将来に対する漠然とした夢や漠然とした不安。「椅子」を通して心を通わせる友人との関わりで、自分の気持ちの輪郭が少しずつはっきりしてくる。とにかく椅子が好き。椅子の事を考えているのが好き。自分で椅子を作ってみたい。二人はコンクールに出品する椅子を作り始める。全編椅子。書名は秀逸だが椅子に特化し過ぎてもったいない。2021/08/28
ゆみねこ
85
椅子が大好きで、椅子のデザイナーを目指す中学生・大木戸真が、モデラーになりたい早川梨々と共に「学生チェアデザインコンペ」を目指す。デザイナーと言う仕事で身をたてることの大変さを楯に猛反対する父。真のひたむきさがとても清々しく応援しながら読了しました。佐藤まどかさん、初読み。2018/02/25
ひめか*
67
椅子が大好きな中学生の真の夢は椅子デザイナー。みんなに変わっている、変だと思われても、スラックス女子の梨々と仲良くし、父親に反対されても好きなことを貫き通す真は素敵だと思う。椅子好きの似たもの同士、出会えたのは奇跡で良かったな。好きなことを仕事にするのは辛いことでもある。それでもそれ以外の仕事が思いつかないというのは私も経験があって、中学の頃から夢が変わらなかったから共感する。早くからその道のプロに話を聞いたり厳しさを知るのは良いこと。でも頭ごなしに生き方を否定する父親は間違ってると思う。頑張ってほしい。2022/04/21
ぶんこ
49
中学生で椅子に夢中っていう点が面白い。椅子の良さに目覚めるのは、ある程度歳がいってからだと思っていましたが、真のような環境(おじいさんが椅子のモデラー)なら有りなのかな。同じ学校の女子梨々もおじいさんが元モデラーで、椅子をデザインするよりは作る方。二人が協力して学生椅子コンテストを目指す。不安定なデザイナーとしての道を歩もうとする息子を心配する父親。横暴かと思いきや、元高校同級生に話をしてもらうようにと心を配る親心にほろっときました。コンテストで進む道が見えてきたようで、真なら頑張っていくでしょう。2018/06/21