出版社内容情報
安倍元首相銃撃事件を機に社会で注目されるようになった「宗教二世」問題。家族と宗教という二重のブラックボックスの中で「見えない存在」にされてきた一人一人の苦難を丁寧に聞き取ると同時に、国や自治体、医療機関が過去にどう対応してきたかを検証する満身のルポ。
内容説明
私たちは透明な子どもだった。安倍元首相銃撃事件を機に社会で注目されるようになった「宗教二世」問題。家族と宗教という二重のブラックボックスの中で「見えない存在」にされてきた一人一人の苦難を丁寧に聞き取ると同時に、国や自治体、医療機関が過去にどう対応してきたかを検証する満身のルポ。
目次
序章 二発の銃声から(「彼」は近くにいた;自由民主党との蜜月)
第1章 深く残る傷痕(「神の子」のアイデンティティ―チュソンの場合;異国で破れた「祝福結婚」―貴子の場合 ほか)
第2章 教義と虐待(苦悩する児童相談所;信教の自由とは何か ほか)
第3章 誰が輸血を拒むのか(ある男児の失血死;震える手で同意書―大地の場合 ほか)
第4章 オウムの教訓はどこへ(透明な存在だった―咲の場合;息子を引きずり込んで―恵美子の場合 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ジュリアン
1
宗教2世に関する本は何冊か読んできたが、その質には雲泥の差があって、この本はその中でも非常に良質な内容。親と子どもの信教の自由、宗教教育か虐待か等、外形的な「虐待」に単純化してワイドショー的興味を誘うのではなく、問題の本質を正面から問う。医師のインタビュー、オウム事件から後代に伝わらなかった教訓が非常に貴重なメッセージを含んでいた。低質な類書にあたる前にぜひ本書を。2024/03/22
tomoconan
0
「宗教二世」問題を虐待として取り上げてくれた一冊。家族内の問題としてなかなか踏み込めないのをいいことに子どもの可能性も選択肢も潰してしまう宗教。丁寧な取材を基に書かれた必読のルポだった。2024/04/10
誰がために明日はある
0
オウム真理教から保護された子どもたちが100人以上いた、という事実に驚いた。30年近く前のことだが、あの事件のことは強烈に覚えている。阪神大震災と同じ年だった。社会が揺さぶられた。だが、子どもたちのことは顧みられずに今の宗教2世の問題がある。統一教会は解散する方向かもしれないが、エホバの証人の子どもたち、その他、多くの新興宗教やカルト団体がある。子どもが声を上げられる仕組み、大人が子どもの声を聞き取る仕組みが大事だと思う。2024/03/28