戦争をなくすための平和教育―「暴力の文化」から「平和の文化」へ

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  • サイズ A5判/ページ数 292p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784750322124
  • NDC分類 319.8
  • Cコード C0037

出版社内容情報

対立・紛争を解決する手段として、戦争という手段ににうったえない、戦争を拒否する文化を、どのように定着させるのか。「戦争は人の心の中に生まれるものだから、人の心の中に平和の砦を築く」ためのアクティビティとその背景にある理論を紹介する。

平和教育地球キャンペーンへようこそ
日本語版への序文
第1部 平和教育の現代的視点
 序 章 この本の目的と利用
 第1章 平和教育地球キャンペーン
 第2章 ハーグ・アジェンダにもとづく平和教育の考え方
 《ハーグ・アジェンダの中心となる4つの柱》
  第1の柱◆戦争の根本的原因と「平和の文化」
  第2の柱◆国際人道法・国際人権法とその制度
  第3の柱◆暴力的紛争の予防・解決・転換
  第4の柱◆軍縮・非武装化と人間の安全保障
 第3章 平和教育の目標
 《社会的目的と教育的目標》
  第1の柱◆戦争の根本的原因と「平和の文化」
  第2の柱◆国際人道法・国際人権法とその制度
  第3の柱◆暴力的紛争の予防・解決・転換
  第4の柱◆軍縮・非武装化と人間の安全保障
 第4章 民主的参加型学習のすすめ方
第2部 実践編
 序 実践をすすめるために
 第1の柱◆戦争の根本的原因と「平和の文化」
  ユニット1 地域のなかのピースメーカー
  ユニット2 ピースヒロイン・ピースヒーロー
  ユニット3 暴力について調べる
  ユニット4 多様性と差別
  ユニ武装化事典づくり
  ユニット20 正義と平和を求める参加への階段
  ユニット21 女性・平和・安全保障
  ユニット22 良心的兵役拒否
  ユニット23 グローバリゼーションによる暴力――人間の安全保障への課題
付 録
 1 21世紀の平和と正義のためのハーグ・アジェンダ
 2 公正な世界秩序のための10の基本原則
監訳者のあとがき
翻訳担当者一覧


序文 この本の目的と利用

 今こそ、国連の当初の目的である「戦争の惨害から将来の世代を救う」ということを、実現するときである。これがまさにハーグ平和アピールの目標である。(ハーグ・アジェンダ「前文」)

《この本の目的》
 この本は「平和の文化」をきずき、戦争をなくすという、きわめて重要な課題に正面から立ちむかう平和教育に役立つものとして計画された。
 1999年5月、世界中から1万人もの市民が集まりオランダでひらかれたハーグ平和アピール市民社会会議(ハーグ平和市民会議)では、戦争をなくすという大きな共通の目標が掲げられた。世界各地域からのさまざまな平和運動をすすめている多様な世界観や文化を背景とした人びとによって、話しあいがなされ、あらたな世紀に平和を実現するための50の勧告、すなわち「21世紀の平和と正義のためのハーグ・アジェンダ」(ハーグ・アジェンダ)がこの会議で採択された。そして、ハーグ・アジェンダの目標を達成するには、まず、普遍的な平和教育が土台とならなければならないということになったのである。この目標を達成するために会議に参加した平和教育者によって、平和教育地球キャンペーンが立ちあげ意図したわけではない。この本は平和教育のあり方のひとつの提言であり、よりひろい学習のあり方を知るには各章の最後にあげた参考文献・資料を参照していただきたい。
 平和教育の入門としてこの本は役にたつであろうが、おもにはハーグ・アジェンダによって示された平和教育のあらたな枠組みをあきらかにするのが、ねらいである。ただし、ハーグ・アジェンダをそのまま、そのとおりに教えようというものではなく、とくにハーグ・アジェンダの提言に焦点をあて、意義のある平和教育の実践を示そうとするものである。しかし、ハーグ・アジェンダにはっきりあらわされている考えや目標にもとづきながらも、この本は20世紀のおわりの20年間、平和教育が蓄積してきた包括的なアプローチからなりたっている。紛争解決や開発教育、人権教育、軍縮教育(非武装化教育)などの、関連するさまざまな分野をひとつに統合する包括的平和教育のアプローチを、この本は重視しているのである。われわれは戦争の体制をなくし、「平和の文化」にもとづく人間の安全保障に転換するための価値や技能、知識を教える実践的で、包括的な平和教育を活性化させたいと思っている。また、「平和の文化」を実現するためのっては、授業にすぐに使える授業案の事例集でもあるが、本来のねらいは、この本を参考に、教師が自分自身で授業を計画することにある。各国の教育省や他の教育行政機関が、この本をユネスコの平和・人権・民主主義教育に関する総合的行動要綱(1994)を実現する指針にするとよい。第2部で示されるカリキュラムの様式は、実践に関する基本的情報を示し、カリキュラムづくりのひな形となるよう考案された。
 この本は短期の教員ワークショップや学校および国、自治体、教育関係団体による教員研修にも役立つものになっている。第1章で述べているように、さまざまな文化圏の教材や教員研修のすすめ方についても、ハーグ・アピール平和教育地球キャンペーンは教育者の理解をはかる。ハーグ・アピール平和教育地球キャンペーンのウエッブサイトには、この本にある以上の教材やカリキュラムがあるので活用されたい。
 この本はたがいに関連し、かつまとまっているが、一部分をとりだすこともできる。とおして読むと平和教育の目的や方法についての簡潔な入門になる。また、地球市民のための平和教育という構想で、平和教育をはじめようとする、あるいはさらにすすめようとする教育者のための学憲章を理解することが好ましい。全般をつうじて、平和教育地球キャンペーンは、包括的平和教育を実現するという根本的なテーマに貫かれ、あらゆる教育が平和を実現する手だてになるようにとりくむべきであるということが、この本の主旨である。

目次

第1部 平和教育の現代的視点(平和教育地球キャンペーン;ハーグ・アジェンダにもとづく平和教育の考え方;平和教育の目標;民主的参加型学習のすすめ方)
第2部 実践編(戦争の根本的原因と「平和の文化」;国際人道法・国際人権法とその制度;暴力的紛争の予防・解決・転換;軍縮・非武装化と人間の安全保障)
付録(21世紀の平和と正義のためのハーグ・アジェンダ;公正な世界秩序のための10の基本原則)

著者等紹介

リアドン,ベティ[リアドン,ベティ][Reardon,Betty A.]
コロンビア大学ティーチャーズカレッジ平和教育センター創設理事

カベスード,アリシア[カベスード,アリシア][Cabezudo,Alicia]
コロンビア大学ティーチャーズカレッジ大学院平和人権講座教授

藤田秀雄[フジタヒデオ]
立正大学名誉教授

淺川和也[アサカワカズヤ]
東海学園大学教員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。