出版社内容情報
日本の社会科学者はなぜ差別について取り組むのが遅れたのか。この切実な問いをめぐって斯界の先行者である石田雄氏と,もっとも早く差別理論の形成をはじめた三橋修氏が徹底して対論した。まずパーソナルヒストリーのうちに差別問題はどのようにして侵入してきたか――黒人問題,在日朝鮮人問題,部落問題などを体験的に語り,のちにこれを理論化し,今後の展望を述べる。社会科学者をはじめとして,差別理論に関心を抱く人たちに,これまでの反差別論とはちがった問題を提起する。
戦後日本の社会科学と人権の視角[石田雄]
対論 第一部/第二部
対論の意義と若干の補足[石田雄]
対論を終えて[三橋修]
目次
戦後日本の社会科学と人権の視角
対論(パーソナル・ヒストリーから;セクシュアリティの問題;私は理論拘泥主義で;黒人問題をどう解くか;ウェーベリアンとマルキスト;「基本的人権」とはなにか;一寸の虫の基本的人権;差別と抑圧移譲;ドミノ理論の是否;共闘の可能性はあるか;オリエンタリズム;外圧の役割;被差別の相互関係)