内容説明
“たしかにその時、ドクロが私に微笑みかけた”―「即身成仏」の真髄へ迫る、秀快上人の入定仏―“われ、火急に入定して衆苦を救わん!”文字通り「身を削りとって」入定した待定法師の最新・発掘成果―今こそ「日本のミイラ」研究は新たな幕を開く。
目次
第1部 ミイラのメッカ出羽三山(湯殿山系即身仏;湯殿山の神秘)
第2部 日本文化の中のミイラ仏(空海の入定説話と即身成仏理論;古代日本の穢と浄 ほか)
第3部 諸種の思想によるミイラ仏(薬師信仰と宥貞法印;浄土信仰と舜義上人 ほか)
第4部 中国の禅とミイラ(曹洞禅の始租・石頭希遷;幽玄美と六祖慧能 ほか)
第5部 「新・ミイラ仏」誕生物語(念仏僧の入定;無能和尚の感化 ほか)
著者等紹介
松本昭[マツモトアキラ]
1925年、神奈川県生まれ。早稲田大学文学部美術史専攻卒業、同大学院特別研究生。毎日新聞社入社後、サンデー毎日、学芸部、政治部を経て事業部長。前昭和女子大学副学長。文学博士
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
篁はいね
0
幼稚園の頃、吉村作治に憧れて「大きくなったらエジプトに行ってミイラを掘る仕事をしたい」と考えていた。 あれから危うく20年経って、日本だけどミイラの本なんて読んで、しかもそれをこれから勉強しようとしている。 過去に思いを馳せつつ、私を宗教史へ誘ってくれた教科書的存在。
ホンドテン
0
図書館で、廃刊となった松本(1985)の増補版なので手に取る、表紙違うけどこれでいいんだよね・・・増補分としては一部写真の刷新と、表紙にもある柏崎の入定僧侶遺体(ミイラとは言い難い)の発掘と復元の一章。髑髏が微笑んだなどと情緒的に書き出しているが、僧の業績の紹介、発掘された入定墓から阿字観法の解説に至る著者のスタンスは学術に徹している。事実上の再読になるが、即身仏というには思想的に躊躇のあるミイラ達の発生に輪郭的な繋がりを想像させつつも明確な理論的骨格を見出し得ない所に変わりはない。2020/01/11