内容説明
ロングセラーの新訳本。
目次
The Beach―海辺にて
Channelled Whelk―にし貝
Moon Shell―つめた貝
Double Sunrise―ひので貝
Oyster Bed―牡蠣のベッド
Argonauta―あおい貝
A Few Shell―ほんの少しの貝
The Beach at My Back―海を背にして
Gift from the Sea Re‐opened
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
榊原 香織
69
ない!小津夜景さん、ジョークだったのか、なんて、一瞬おもったけど、あったあった。 argonauta落合恵子訳ではあおい貝、となっている タコブネ、ではなく。昔の吉田健一訳ではどうだったのか。 にし貝、つめた貝、貝の名に託して女性の生き方を静かに考察したエッセイ。 50年代のアメリカ、イケイケだった時期じゃないかな。2022/04/01
U
28
クリスマスの読書会に参加したとき、会場だった古書店で購入。本のタイトルと、哲学的な香りのする目次に惹かれ、直感で購入しました。作者による思索の断片を集めたものですが、すごく好みな感じ。訳者の落合さんがよまれた、吉田健一さん訳と、原書も是非味わってみたいと思いました。お気に入りは、終盤の「あおい貝」の章かな。本作を携え、鎌倉・江の島を再訪したいものです。繰り返しよみたい作品。2016/12/31
Sakie
16
落合恵子訳版も読んでみた。格調の高さで有名な吉田健一訳よりもやわらかく、より自然なエッセイとして読め、むしろ物足りなく感じたくらいだ。リンドバーグ49歳の著作。以前読んだ時より私の年齢が近づいているので、当然に受け取れたのかもしれない。ひとりの時間について。やらなければならない事や気にかける事が多すぎて、家でひとりになっても自らを顧みる機会をつい後回しにして、ごぞごぞしてしまう。自らを"満たす"ためには、内なる静寂を感じ取るためのひとりの時間を自ら「切実に欲する」よう心がけたほうが良いとするのには同感だ。2024/03/10
Mayu
14
勝手に生物学の本だと思っていましたが、女性の生き方についてのお話でした。これが書かれた当時と、現在では社会の中での女性の在り方は大きく変わっているはずですが、個人が抱える課題というか、社会と折り合いをつけながら、自分を失わずにいることの難しさは、現代も変わらず、むしろ尚更困難なのかも…。中年以降は、社会的な自分の立場はあまり動かせなくなってくるので、内面の充実に目が向くようになる、というのはとても納得したし、その過程で思春期のように不安定になることがあるというのもわかるなぁ…雅姫さんや、桐島かれんさんの2020/12/25
shizuca
10
「未来に対して貪欲なあまり、現在を味わう余裕もない」良い言葉だなぁ。グサリとくる言葉。読んでいくと、当時のアメリカの一女性と今の私たちの思想ってそんなに変わらないんだと思う。誰かに依存するのではなく自立して一人でも生きていけること、それは孤独なことだけど、その孤独が人の内的なものを豊かにする。豊かになれば他者に寄りかかりすぎず互いを尊重しあい敬愛の心を忘れずによりすばらしい人間関係が築ける。今の自己啓発本にも書いてありそう。あと翻訳が素晴らしい。2016/03/09