出版社内容情報
16~17世紀のドイツで、魔女の烙印を押され、迫害を受けた人びとがいた。その告発は民衆のなかから沸き起こり、大勢の無実の人びとが処刑された。大量処刑を可能にした魔術信仰とは何か。魔女裁判が迫害マシーンとなって暴走し、公権力すらこれを制御できなかったのはなぜか。魔女裁判を検証し、ドイツ史のなかの魔術と民衆の関係をみつめる。,
内容説明
16~17世紀、魔女の烙印を押され、迫害を受けた人びとがいた。その告発は民衆のなかから沸き起こり、大勢の無実の人びとが処刑された。魔女裁判はどのように行なわれたのか。ドイツ史のなかの魔術と民衆をみつめる。
目次
「魔女」というイメージ(魔女犯罪の中身;初期の魔女裁判)
大迫害時代(近世の刑事司法;学識法曹とドイツの魔女裁判 ほか)
なぜ女性なのか(魔女迫害の論理と心理;女性の犯罪 ほか)
現代の「魔女狩り」(呪術師と批判者;怪しげな文献)
著者等紹介
牟田和男[ムタカズオ]
1956年山口県に生まれる。’80年京都大学法学部卒業。’99年九州国際大学法学部退職
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感想・レビュー
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あくび虫
3
魔女裁判というと、無秩序と狂気を連想しますが、ものすごい偏見でした。どちらかといえば理性的で、だからこそ救いようがない印象を受けます。ーー魔女裁判なんていうのは一つの表象にすぎなくて、もっと根が深くて、本質的なものがあるのでしょう。2017/01/03
たまご
2
なぜ中世のあの時代に,ヒステリックにも思える魔女狩りが行われたのか…,読んでもすっきりしないんですが,ドルイド的なものに代表される土着信仰?民間伝承?を,権力者の統治の道具(だけではないけど)であるキリスト教的価値観で塗り替えていくときの軋轢に,大飢饉みたいなのが加わって,起こったのか…? 価値観のゆらぎが起きて,どんな時でも拠り所になる「絶対」が無くなった世界で,すべてが疑心暗鬼になったのかも.しかし現代にも絶対的価値観は無いな….日本は空気読め的価値観だから,おもてだってはめだたないのか.2013/07/03
印度 洋一郎
2
16~17世紀のドイツに着目し、当時の司法システム(裁判だから)や社会背景に着目しつつ、「何故、魔女裁判は起こったのか?」「何故、魔女(=女性)なのか?」という疑問に迫った本。これが原因!という明快な理由などなく、狭いムラ社会の濃密な人間関係、当時の女性の置かれた社会的位置、中世から近世への価値観の変動など複合的原因で起きていた、というのが実像に近そうだ。教会や法曹関係者が消極的だったのに、民衆側が魔女狩りに熱心だったというのも意外だ。しかも、戦後になっても、ドイツでは魔女だと告発される人がいたという。2012/03/17
さわな
1
ドイツにしぼって魔女裁判が行われた経緯や裁判の進行を記している。 魔女裁判というとなんでもありな拷問のイメージが強かったのだけどそれは民間(委員会)が勝手に行っていたもので裁判で行われる拷問にはきちんとお作法があったのね。 この時代の裁判や拷問、他の地域での魔女裁判についても読んでみたくなった。2022/06/24
もふもふ
1
ドイツでの魔女裁判が起こった背景を当時の風習に照らし合わせて解説。誰が魔女裁判を推し進めたか、なぜ魔女は女が多いのかの辺りはなかなか面白かった。魔女裁判は民衆の間では名誉の問題でもあって、拷問時に恨みのある人物に疑いをかけて名誉を傷つけ、あわよくば自分と同じ目に合わせようとするのには驚いた。女のコミュニティは怖いね。2010/09/19
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