ヤマケイ新書
大地の五億年―せめぎあう土と生き物たち

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  • サイズ B40判/ページ数 229p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784635510226
  • NDC分類 613.5
  • Cコード C0275

出版社内容情報

植物にはじまり、微生物・昆虫・恐竜から人まで、土と関わりのない地上生物はいません。生き物はどのように土に適応してきたのか? そして土は生き物にどんな影響を受けてきたのか? 気候変動から戦争まで、生命の歴史を土をキーワードに読み解きます。

内容説明

生き物が土を変え、土が生き物を変えてきた。植物・動物・ヒトの歩んだ道を、土壌学者が掘り起こす。

目次

プロローグ 足元に広がる世界(地球は茶色かった?;旅をはじめる前に)
第1章 土の来た道:逆境を乗り越えた植物たち(土壌が存在しなかった地球;大陸移動とシダの森 ほか)
第2章 土が育む動物たち:微生物から恐竜まで(栄養分をかき集める生き物たち;腸内細菌の活躍 ほか)
第3章 人と土の一万年(ヒトの酸性土壌への適応;水と栄養分のトレードオフ ほか)
第4章 土の今とこれから:マーケットに揺れる土(エネルギーが届くまで;スギ林に囲まれた不思議な景色 ほか)

著者等紹介

藤井一至[フジイカズミチ]
1981年富山県生まれ。2009年京都大学農学研究科博士課程修了。京都大学博士研究員、日本学術振興会特別研究員を経て、現在は森林総合研究所研究員。専門は土壌学、生態学。国内各地、インドネシア・タイの熱帯雨林からカナダの永久凍土まで、おもしろい土と生き物を求めて、スコップ片手に飛び回っている。第一回日本生態学会奨励賞(鈴木賞)受賞。第三十三回日本土壌肥料学会奨励賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

けんとまん1007

48
土。これほど大切なものも、そうそうない。自家菜園をやっていることもあり、土のありがたさ・貴重さは、身に沁みている。その土を巡る五億年のものがたり。色だけでなく、含む成分なども含め、多種多様な土がある。そんな土も、地球の表面を、ごく薄く覆っているだけ。その土が、有れて痩せてきていることの結末を考えると、気が重くなる。一朝一夕でできるものではないことを、忘れてはいけない。2022/12/13

アルフ

33
土という視点から地球誕生46億年の歴史を解きほぐす。平均すると厚さ1mに過ぎない土の存在が、炭素や窒素を有機物に変え、地球を命の惑星に変えた。5億年前に産まれ、植物の進化とともに気の遠くなる時間をかけて作られてきた土は、この100年かつてない速さで変化している。こんなマニアックなテーマ、ここまで分かりやすく読ませる?山や川、いつもと変わらない風景が、生き生きと動いて見える一冊。2019/08/22

Miyoshi Hirotaka

27
土の誕生は五億年前、農業の開始は一万年前。美味しいい澱粉を供給してくれる野生種を選抜し、世界各地でそれ合う基本的な農耕法、つまり、酸性土のマネジメント法が開発された。これが、灌漑、焼畑、水田。農地拡大と栽培技術の発達により人口は少しずつ増加していった。人口の爆発的な増加に貢献したのが、人工の窒素肥料。これにより、19世紀に16億人だった世界人口は70億人にまで膨らんだ。今では、窒素肥料の生産量は自然の窒素固定量を越え、耕地も連作されるようになり、土壌の酸性化が自然の回復力以上に急速に進展している。2020/08/16

おおた

23
地球の環境が悪化していることを憂う人はおしなべて読むべき。土の研究者が土壌の酸性化を追いかけた結果、酸性雨ではなく育つ植物や人間の与える肥料が原因だった。食糧事情は表面上良くなっているように見えるけど、それは5億年の歴史を経た土壌の恵みを前借りしているようなもの。後半ではポテトチップや枝豆など、身近な食料品がどのように作られているか、「不自然な」作られ方が物質の循環によって思わぬ所に悪影響をもたらす。かといって、肥料を使わない18世紀に戻るわけにもいかず、わたしたちはもっと環境について学ばないといけない。2019/03/21

Sakie

21
土についてもっと知りたくて2冊目。前作とアプローチが違う。地質や気候によって岩石から生まれた土が、少なくとも数百年の時間をかけて土壌になる。それは植物や昆虫、微生物、人間が足し算引き算でその土その土に適応してきたからなのだ。日本の土がどういうものか、なぜ山野は何もしなくても繁茂するのに畑には石灰を撒かなければならないか、ひいては農業、主食穀物と日本史、環境問題の根の深さなど、全てが繋がっていると理解できる。ここをふまえたほうが、本当に大事なものを見極められそう。「土」を考えるうえでの基本が理解できる良書。2023/03/20

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