内容説明
古代メソポタミアの人々によって一字一字刻まれた粘土板の文字には、彼らが望んだこと、恐れたこと、そしていかに契約社会であったかといったことが克明に描かれています。平山郁夫シルクロード美術館所蔵の粘土板や印章、神像などを通して、古代メソポタミアの生活や社会を味わってみて下さい。
目次
第1章 メソポタミア文明への道(農耕と牧畜のはじまり・麦と羊との暮らし;経済活動と封泥;護符)
第2章 都市文明の成立(都市文明の成立;文字の登場;メソポタミアは契約社会―契約文書;書簡;医術文書;占い文書;文書と印章;円筒印章;スタンプ印章の再登場)
第3章 神々の確立(神々の世界;定礎石、建築碑文;アッシリアの王宮と装飾)
第4章 都市の暮らし(都市の暮らし;戦い;武具;馬具;運ぶ・動物土偶;運ぶ・車両;動物;動物装飾の器;人の姿;メソポタミアの音楽;装い;さまざまな器;メソポタミアのガラス;石製容器)
終章 アルファベットへの移行(楔形文書からアルファベットへ)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Koichiro Minematsu
10
メソポタミア文明の繁栄の中心にあるのは、ズバリ、都市文明の発達。キーワードは、城壁、運河、守護神のための神殿。なぜか? 領域拡大と水利権の争い。粘土と二つの大河。 2017/10/24
ああああ
10
カラー写真が多く楽しめた。楔形文字で粘土板に書かれた「借金の利息支払いと返済延期のお願い文書」とかを見て楽しい気分に。きっと今ごろ利息が大変なことになってるね。あと家屋に飾る神棚的なものがまるでマンションの模型みたいでホントに神棚なのかよ、とか。少し当時の人のことを想像したせいかギルガメッシュ叙事詩を読んでみたくなった。2015/09/15
びっぐすとん
4
図書館本。カラー写真が多くてグッド。円筒印章がすごくきれい。ガラス杯とか、これが正倉院まで伝わるんだと思うと感慨深い。動物型の土製品が素朴でかわいい。2016/07/17
さたん・さたーん・さーたん
3
平山郁夫シルクロード美術館所蔵品の印章や粘土板、美術品をメインに解説。粘土板一枚、スタンプ一個にここまで説明してくれれば美術館巡りも楽しいが、実際は目が疲れて仕方ないだろう。印章、文書、工芸品など美術品の形態ごとに紹介されるため、縦軸の把握が大変。有名美術館のような大型で圧倒的な品々はなくとも、二千年以上前に彫刻された印章の精緻な図柄はとても興味深い。2020/09/28
Koning
3
平山郁夫画伯が生前収集していたコレクションのメソポタミア関連を紹介した本。タブレットの解読は月本教授とのことなので、ActaSumerologicaに発表されたものだと思う(速くオープンアクセスになって欲しいジャーナルdすね)。個人的にありがたかったのは円筒印章のタイプ別写真。解読に挑戦している印章の時代が推定していたUrIIIから古バビロニア時代の物で間違いなさそうと確認できたこと。判読が困難なサインの推定にもちょっと自信が湧いて来た。そう言うのを抜きにしても山梨の博物館にこれをみにいくのは厳しいけれど2012/03/11