内容説明
日本人の日記好きはしばしば指摘されています。日記は、記主が独自の価値観と興味関心にもとづいて書いた記録であり、そこにはその時代を生きた人びとの社会生活や精神生活がなまなましく記録されています。日本には、平安時代後期から数多くの日記が残されており、中世にはいると形態・内容ともに多種多様なものがみられるようになります。このような個性的な中世の日記の世界について、貴族の日記などから、その実像と魅力を解き明かしてみましょう。
目次
日記史上の中世
1 中世の日記帳(具注暦;暦に記事を書く工夫 ほか)
2 日記にみえる世界(個人的な視点と感情の吐露;なまなましい記述 ほか)
3 日記を書くことの意味(官人にとっての日記;清書された「家記」 ほか)
4 日記の利用(形態面での工夫;首書と目録 ほか)
著者等紹介
尾上陽介[オノエヨウスケ]
1963年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程退学。専攻、日本古代史、史料学。現在、東京大学史料編纂所助手
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感想・レビュー
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rbyawa
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f223、藤原頼長と『台記』(ってのは結局後世に付けられた名前ってことでいいのかな、日記の中から取られた呼び名のようですが)ってのはそれこそこの日記をテーマとしたnhkの番組で見たことがあるものの、男色とかその夜の生活がどうのとか、さすがに珍しいんでしょうね。他にも自分が殺させたなどという日記もあって、公式記録でないのだとしても若干不思議。自分の子孫に対して残す意図がすでに現れているらしいものの、実際に当時どうやって残したのか、というところを聞かないとなんともなぁ。寺の記録なんかだと箱があったりするよね。2015/10/22
ともなりたすく
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くげぇ(鳴き声)2014/01/06
こんがら童子
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中世の時代に日記を書く意味はよく分かった。疑問として残ったのが、確かに後世、他人に見られることを想定した日記はそのことを前提に書いているのだからいいのだけれども、プライベートなことを綴った日記も見られることを前提としていたのだろうか、ということ。でも、見られることを想定しているのなら、そんな感情的なことは書けないけれども、結構、書かれている。その辺のところが読後、気になった。2010/06/21
arere
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改めて読んで、とてもためになる。自筆本日記からどんな情報をよみとるのか、具体的な事例で紹介。2018/10/26