内容説明
好きなのは絵を描くことだけ。夢長がちな少年が過ごした故郷の日々と、絵描きをめざした青年期の思い出。好奇心いっぱいの少年の心を、書き下ろしの絵と文で綴りました。
目次
「オレは村中でイチバン」のこと―まえがき
峠の茶屋
金鉱
地下室
学校と先生
弟のこと
汽車の別れ
犬神
迷信
三月二十日生まれ〔ほか〕
著者等紹介
安野光雅[アンノミツマサ]
1926年、島根県津和野町生まれ。山口師範学校研究科修了。1974年度芸術選奨文部大臣奨励賞、その後ケイト・グリナウェイ特別賞(イギリス)、最も美しい50冊の本賞(アメリカ)、BIB金のリンゴ賞(チェコスロバキア)、国際アンデルセン賞などを受賞。1988年に紫綬褒章、2008年に菊池寛賞、2012年に文化功労者。故郷津和野には「安野光雅美術館」がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
114
安野さんの表題通りの話で結婚前後のことも書かれています。昔どこにでもあったような光景が出てきます。津和野から徳山、東京へとくるのですがその当時のことをえとともに語ってくれます。私以上の年配の人には懐かしいと思えるのですが今の若い人には単なるノスタルジーと映るのかもしれませんね。安野さん得意の半分を絵で半分を文章くらいにしたほうがよかったという気がします。2015/10/25
おけいさん
12
話が時々あっちに行きこっちに行き…という風に、おじいちゃんの語りに付き合っている気持ちになった。とは言え平和が大事、戦争はいけないという強い気持ちは全くぶれることはない。素朴な挿し絵にクスリと笑わされた。2015/09/13
エディン
10
安野さんの少年時代から現在まで、これほど変化した時代はないだろう。文化的から文明的に変化したのだ。後戻りはできないわけだから、自分でしっかり考えていくことが大切である。「難しいことを易しく、易しいことを深く、深いことを面白く」井上ひさしの言葉。「勉強はインポータントではない、インタレストなのだ。」本文以上に、優しい色使いの挿絵とそこに書かれている一言を楽しんだ。2019/06/11
しゃんしゃん
10
文化功労者の画家。司馬遼太郎の街道を行くの挿絵画家でもあった。開戦前、ふるさと津和野での出来事を中心に思い出を綴る。交流も華やか。挿画も随所に散りばめられ楽しい。今生天皇のアメリカ人家庭教師は「いつも自分自身で考えるように努めて欲しい。聞いたことを全部信じ込まないように、自身で真実を見出すように努めてください・・。あらゆる意見を聞いて真実を見出して」と、語ったと言う。2017/05/27
港まりん
10
いかにも歳を取った人の昔語りであり、その風情がよい。挿絵もかつて日本のあちこちで見られたであろう風景や生活であり、著者のさらに老成した画風が味わい深い。安野氏が現在になって思い出すという少年時代のいかに鮮やかなことか。2015/05/29