感想・レビュー
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きいち
17
漁業権の制度や漁法、漁具、身分や環境、風俗まで、驚くほどの立体感で記述されていく対馬の漁業の歴史。宮本は70日ほどの滞在で全41の集落を踏査し、聞き取りと古文書の収集にあたったという(この古文書を借りだす過程が、『忘れられた日本人』の冒頭「対馬にて」のエピソードだ)。ほんま、どんな密度で仕事したはんねん…。◇それにしても、中世から続くという制度のややこしいこと。個人にとっては不都合極まりないけれど、食糧の確保や水産資源の保全といった面からは不合理だけとはいいきれない。だからこそまずは事実を。それが宮本だ。2014/05/05