出版社内容情報
ソーシャル・キャピタル醸成のための手法として「労働」を捉え、地域包括ケア時代の就労支援体制を提言。本書は、高齢者の就労を、経済活動としてではなく、自己充足、社会的孤立予防、介護予防の手段として捉え、その支援体制を検討したものである。豊富な支援活動の事例を基に、セーフティネット、地域包括ケアをキー概念として、保健福祉の観点から、社会参加としての就労支援ならびに高齢者就労の新しい社会的なコンセンサスづくりのための方策を検討した一冊。
まえがき
第?部 社会状況の変化と高齢者就労
第1章 QOLの向上と社会的孤立予防(稲葉陽二)
??ソーシャル・キャピタルからみた高齢者就労の意義
1 高齢者就労の現状
2 ソーシャル・キャピタルとは何か
3 高齢者のソーシャル・キャピタル??年齢階層別の比較
4 高齢者のQOL
5 社会的孤立予防としての高齢者就労
6 高齢者医療費と就業率
7 医療費抑制の可能性??高齢者就労の意義
第2章 労働社会の変容と高齢者就労(塚本成美)
1 経済的側面と社会的側面??高齢者就労問題の2つの側面
2 「生きがい就業」と「第三の働き方」
3 労働社会の多様化と高齢者就労
4 公共社会の形成と高齢者就労
第3章 派遣労働としての働き方(河邉彰男)
??労働者派遣業界からみた高齢者の就労
1 需給調整システムにおける労働者派遣制度の特徴
2 増加する高齢者派遣
3 人材サービス産業の多機能化と法改正??高齢派遣労働者への追い風
第4章 高齢者の健康と労働能力との相関(渡辺修一郎・鈴木宏幸)
??身体・精神機能の推移からみる労働可能な範囲
1 寿命と健康寿命
2 身体の構造と機能と加齢変化
3 心理・精神機能の加齢変化
4 高齢者の健康状態
5 高齢者自身がとらえる自己の労働能力
6 高齢者の心身機能の特性をふまえた就労支援
第?部 高齢者就労を支援する団体・組織
第5章 生きがい就業を支える社会システム(石橋智昭)
??シルバー人材センターの貢献と課題
1 シルバー人材センターの組織的特徴
2 シルバー人材センター会員の実像
3 難局に直面するシルバー人材センター
第6章 ボランティアと就労の境界(佐藤 陽)
??社会福祉協議会の活動から
1 高齢者に視点を置く社会福祉協議会の沿革
2 社会福祉協議会とは
3 ボランティアとは
4 地域福祉実践を担うボランティアセンター
5 介護と福祉が期待する有償サービスとコミュニティビジネス
6 有償ボランティアに関する議論ととらえ方
7 ボランティアと就労の境界とは
8 高齢者の社会貢献を多様な方法で支援
第7章 高齢者による就労支援(田尻孝二)
??高齢者協同組合が手がけてきた高齢者就労
1 高齢者協同組合の成り立ち
2 高齢者協同組合の組織概要
3 高齢者協同組合の事業活動
4 生活協同組合・東京高齢協の労働環境
5 再び地域へ
第8章 能力開発から職業紹介まで(渡辺吉靖)
??公益財団法人東京しごと財団における歴史と現状
1 高齢者就業支援の成り立ち
2 シニアコーナーと企業の協働
3 高齢期の就労価値の創造
第?部 高齢者の就労支援を支える体制
第9章 高齢者の就労を支える重層的ケア(渡辺修一郎)
??保健・医療・福祉システムの視点から
1 高齢者の就業支援へのアプローチ
2 働く理由の強化
3 仕事に就けない・就かない理由の解消
4 離職する理由
5 高齢労働者の労働災害の現状
6 高齢労働者の安全衛生対策
7 多様な事業主体による重層的な就業支援
第10章 就業システムは「社会の窓口」となれるのか(南 潮)
??就業支援施設の事例から
1 高齢者就業をめぐる状況と高齢求職者
2 高齢求職者のための就業支援システム
3 就業支援施設に来所する求職者への郵送式縦断追跡調査
4 高齢求職者に対する個別相談面接の実施
5 働く高齢者の会
6 尊厳ある選択が可能な支援体制の構築
第11章 就労形態の変化と多様な支援プログラム(倉岡正高)
??アメリカの事例から
1 アメリカの就労支援から学ぶ
2 アメリカの労働人口動態の変化
3 高年齢労働者に関する政策
4 高齢労働者を活かす職場づくり
5 就労の選択肢増加の可能性
第12章 シームレスな社会参加における就労(藤原佳典)
??地域包括ケア時代の働き方とは
1 地域包括ケアシステムの実現へ向けて
2 就労についての日本人の価値観と退職後サラリーマン層の活用
3 高齢者の多重役割と社会参加・社会貢献のステージ
4 社会貢献活動の新規参画・引退??その実態と予測因子
5 社会的孤立予防の三層の防御網
6 地域包括支援センターは住民団体や地域資源と連携しているか
7 高齢者雇用企業に対する訪問調査
8 地域包括ケアシステム時代における高齢者就労の方向性
あとがき
索 引
藤原 佳典[フジワラ ヨシノリ]
2016年10月現在東京都健康長寿医療センター研究所社会参加と地域保健研究チーム研究部長
南 潮[ミナミ ウシオ]
2016年10月現在鳥取短期大学幼児教育保育学科助教
内容説明
ソーシャル・キャピタル醸成のための手法として「労働」を捉え、地域包括ケア時代の就労支援体制を提言。
目次
第1部 社会状況の変化と高齢者就労(QOLの向上と社会的孤立予防―ソーシャル・キャピタルからみた高齢者就労の意義;労働社会の変容と高齢者就労;派遣労働としての働き方―労働者派遣業界からみた高齢者の就労 ほか)
第2部 高齢者就労を支援する団体・組織(生きがい就業を支える社会システム―シルバー人材センターの貢献と課題;ボランティアと就労の境界―社会福祉協議会の活動から;高齢者による就労支援―高齢者協同組合が手がけてきた高齢者就労 ほか)
第3部 高齢者の就労支援を支える体制(高齢者の就労を支える重層的ケア―保健・医療・福祉システムの視点から;就業システムは「社会の窓口」となれるのか―就業支援施設の事例から;就労形態の変化と多様な支援プログラム―アメリカの事例から ほか)
著者等紹介
藤原佳典[フジワラヨシノリ]
1962年生まれ。2000年京都大学大学院医学研究科博士課程修了。現在、東京都健康長寿医療センター研究所社会参加と地域保健研究チーム研究部長
南潮[ミナミウシオ]
1969年生まれ。2016年兵庫県立大学大学院環境人間学研究科博士後期課程修了。現在、鳥取短期大学幼児教育保育学科助教(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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