Minerva世界文学選
あの薔薇を見てよ―ボウエン・ミステリー短編集

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  • サイズ B6判/ページ数 337p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784623040797
  • NDC分類 933
  • Cコード C0397

出版社内容情報

短編の名手がミステリ手法で抉る人生の真実。

内容説明

20世紀英国文壇切っての短編の名手がミステリータッチで抉る人生の真実20編。

著者等紹介

ボウエン,エリザベス[ボウエン,エリザベス][Bowen,Elizabeth]
1899~1973。17世紀以来のアングロ・アイリッシュ地主階級ボウエン一族の末裔として、アイルランドのダブリンで生まれ、その後まもなくイギリスへ渡る。20代の初めから小説を書き始め、73歳で没するまでに10編の長編小説と100編余の短編小説を書いた。グレアム・グリーン等とも親交があり、文芸評論をはじめ、旅行記、児童書、評論等も手がけた。この間ダブリン大学、オックスフォード大学より名誉博士号を受ける。最後の長編『Eva Trout』は第1回目のブッカー賞(現在はマン・ブッカー賞)の候補となる

太田良子[オオタリョウコ]
1962年東京女子大学文理学部英米文学科卒業。1980年東京女子大学大学院英米文学研究科修士課程修了、1994‐5年ケンブリッジ大学英文科訪問研究員(ダーウィン・カレッジ)。現在、東洋英和女学院大学国際社会学部教授。日本文芸家協会会員
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

78
最近、エリザベス・ボウエンの作品を読んだので再読。再読すると結構、「男性社会において女性は如何に生きていくか」という今日性があるテーマにした作品が多かった事に気づく。表題作は再読すると噂の真実の恐ろしさよりも、女性のみで構成された家庭に惹かれるルウの心理が興味深い。しかもルウは現在、不倫中だが、エドワードに幻滅し、別れを薄々と予感している。しかし、自立する術を知らない女性であるのだ。そんな彼女が事実を知ったとしてもあの家庭を倦厭するだろうか。いや、私はそうは思わない。寧ろ、彼処は女性にとって安らぎなのかも2019/05/09

藤月はな(灯れ松明の火)

33
なんとなく、本全体からの幻想的な雰囲気に惹かれて読んでみたらまさかの大当たり。所々に張られた描写がラストのとある事実と符牒が一致することにぞっとする表題作やサキを連想させる作風の「マリア」、「勝てば英雄、負ければ賊」という言葉を卑近にした遣る瀬無さすぎる「父がうたった歌」、最後に戦慄する「猫が跳ぶとき」、怪奇的な秘密に思わせる手腕が炸裂する「手と手袋」が個人的に印象的でした。何者にもなれなかった男を描いた「告げ口」は「死刑台のエレヴェーター」を彷彿させます。もっとエリザベス・ボーエンの作品が読みたい!2013/02/10

mi

13
「あの薔薇を見てよ」の数行を読み、仲良くなれそう、と直感した。が、ボウエンは厳しかった。簡単には友だちにならないわ、とばかりに、家具や家庭教師や季節や木木や寄宿舎や、綺麗な景色の奥、謎めいてばかり。短編20編。お気にいりは「マリア」と「ザ・ジャングル」。『「冒瀆はいけないわ」と言うレイチェルは、嬉しくて笑いがとまらなかった。』なんて。キャーッ。2015/07/25

ハルバル

12
翻訳の問題もあるのだろうが、以前読んだ時はやや晦渋という印象を持ったが、今回多少は読みこなせたかな。「林檎の木」「手と手袋」「猫が跳ぶとき」の超自然のほのめかしは、ヘンリー・ジェームズを思わせる微妙さで、読んでいてもどかしいが魅力的。(特に「猫が~」は原文からして解釈が難しいらしい)お針子や売り子、家庭教師という職業婦人に代表される「新しい女」が、内面の伺い知れない不気味な存在として書かれてるのも興味深い。没落地主など雇う側は彼女達を勝手に解釈するが、結局のところ謎のままというのが皮肉めいていると思う。2017/08/08

秋津

11
時間がかかったが、とても面白かった。マリア、チャリティー、ザ・ジャングルなどの少女の描き方は素晴らしい。ほかには「割引き品」「林檎の木」「針箱」 「幻のコー」などが好き。2017/07/26

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