感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
6 - hey
3
戦前のマルキストたちがどのような状況下で筆を競わせていたのかがよくわかる本です。論争もさることながら、治安維持法との戦い、コミンテルンとのすり合わせに苦労するマルキストの姿も描き出されている。2012/10/02
e.s.
0
本書によれば、猪俣津南雄は日本資本主義論争の解答として、アジア的農村共同体に革命の可能性を見出した。これは、マルクスの「ザスーリチへの手紙」に触発されたもののようだ。農村共同体には、共同体を強化すると共に解体する二元性があり、後者と所有・労働の共同性が結びつく時、革命の拠点となる。農村共同体は資本主義に包摂されない封建的外部だが、同時にその封建制を解体する潜勢力をもち、そして資本主義をも超克する「外」なのだ。これは30年代に蔓延る農本主義コミューン論の一形態なのか、それと別の何かなのか、吟味が必要だろう。2015/05/29