兵士というもの―ドイツ兵捕虜盗聴記録に見る戦争の心理

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兵士というもの―ドイツ兵捕虜盗聴記録に見る戦争の心理

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  • サイズ A5判/ページ数 467p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784622086796
  • NDC分類 391.1
  • Cコード C1022

出版社内容情報

英米軍はドイツ兵捕虜同士の赤裸々な会話を盗聴し、膨大な記録を残した。この画期的史料を歴史学と心理学で分析し兵士の本質に迫る。英米軍はドイツ兵捕虜同士の赤裸々な会話を盗聴し、膨大な記録を残した。この画期的史料を歴史学と心理学で分析し兵士の本質に迫る。

第二次世界大戦中の英米軍は捕虜にしたドイツ兵の収容所に盗聴器を仕掛け、詳細な記録をとっていた。その総量は付随資料を含むと15万ページに及ぶ(記録の概説は「補遺」に記載)。
兵士から見た戦争については従来、調書、家族への手紙、回想録などが利用されてきたが、自己を正当化したり後づけの知識で補正されるなど、史料として多くの限界を抱えていた。しかし、盗聴されていることを知らない捕虜同士の会話は赤裸々で、ドイツ国防軍のみならず軍隊一般の心性史に新しい視座を拓く可能性を持っていた。
戦後も保存され1996年に機密解除されながら、書架に埋もれていたそれを発見した歴史家ナイツェルは、史料としての性格を看破し、社会心理学者ヴェルツァーに協力を求めた。人々の内面に触れるこうした史料の可能性を汲み尽くすには、心理学の知見が欠かせない。本書はこうして成った共同研究の成果である。
分析にあたって本書は、個人の行動主体性よりも「参照枠組み」という集合的概念を重視している。たとえば顕彰は象徴的だ。ドイツは詳細な顕彰システムを導入していたが、兵士の受章への願望は驚くほど大きく、行動を規定する要因として働いた。
兵士から見た戦争、第三帝国、そして兵士自身の世界を構成する暴力、破壊、戦争犯罪、感情、セックス、技術、総統信仰、イデオロギー、勝利への信念――。戦争というもの、兵士というものを理解するために、盗聴記録から読みとれることは何か。本書の結論は、ときとして予期しないようなものとなるかもしれないが、我々の理解を核心に向けて一段深めてくれるだろう。

プロローグ

第1章 戦争を兵士たちの視線から見る――参照枠組みの分析
基礎的な方向づけ――ここではいったい何が起きているのか
文化的な拘束
知らないということ
予期
認識における時代特有の文脈
役割モデルと役割責任
「戦争は戦争だ」という解釈規範
形式的義務
社会的責務
さまざまな状況
個人的性格

第2章 兵士の世界
「第三帝国」の参照枠組み
戦争の参照枠組み

第3章 戦う、殺す、そして死ぬ
撃つ
自己目的化した暴力
冒険譚
破壊の美学
楽しさ
狩り
撃沈する
戦争犯罪――占領者としての殺害
捕虜にたいする犯罪
絶滅
絶滅の参照枠組み
射殺に加わる
憤激
まともであること

感情
セックス
技術
勝利への信念
総統信仰
イデオロギー
軍事的諸価値
イタリア兵と日本兵
武装SS
まとめ――戦争の参照枠組み

第4章 国防軍の戦争はどの程度ナチ的だったのか

補遺
謝辞/訳者あとがき/原註/文献/索引

ゼンケ・ナイツェル[ゼンケ ナイツェル]
著・文・その他

ハラルト・ヴェルツァー[ハラルト ヴェルツァー]
著・文・その他

小野寺拓也[オノデラタクヤ]
翻訳

内容説明

兵士という「普通の人々」は戦場や軍隊組織で何を考え、暴力をどう内面化していくのか。盗聴された捕虜同士の赤裸々な会話という画期的史料を、歴史学と心理学で分析し各国に衝撃を与えた書。

目次

プロローグ
第1章 戦争を兵士たちの視線から見る―参照枠組みの分析(基礎的な方向づけ―ここではいったい何が起きているのか;文化的な拘束;知らないということ;予期 ほか)
第2章 兵士の世界(「第三帝国」の参照枠組み;戦争の参照枠組み)
第3章 戦う、殺す、そして死ぬ(撃つ;自己目的化した暴力;冒険譚;破壊の美学 ほか)
第4章 国防軍の戦争はどの程度ナチ的だったのか
補遺

著者等紹介

ナイツェル,ゼンケ[ナイツェル,ゼンケ] [Neitzel,S¨onke]
1968年生まれ。グラスゴー大学、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスを経て、ポツダム大学教授。専門は軍事史。グイド・クノップ監修の歴史ドキュメンタリー番組に積極的に出演している他、テレビ映画『ジェネレーション・ウォー(ドイツ語タイトルはUnsere V¨ater,unsere M¨utter)』などへの専門的見地からの助言も行っており、メディアへの露出が少なくない

ヴェルツァー,ハラルト[ヴェルツァー,ハラルト] [Welzer,Harald]
1958年生まれ。フレンスブルク・ヨーロッパ大学客員教授。社会心理学者・社会学者。膨大な著作・編著があり研究テーマも多岐にわたるが、中心テーマは暴力と記憶

小野寺拓也[オノデラタクヤ]
1975年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。昭和女子大学人間文化学部を経て、東京外国語大学世界言語社会教育センター特任講師。専門はドイツ現代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

くさてる

22
第二次世界大戦時の英米軍が捕虜収容所に仕掛けていた盗聴器から得た記録を社会学者が分析し解説したもの。自分たちの会話が盗聴されていることを知らないドイツ兵たちの会話から垣間見える、かれらにとっての戦争、第三帝国、暴力、戦争犯罪というものが生々しく伝わる内容だった。それらはとてもありふれた平凡なもので、その平凡さが人類史上最も残酷な暴力を生み出したという著者の言葉が重い。いつだって、特別な誰かが、過ちを犯すわけではないのだ。2018/10/31

りん

9
参照枠組みが変わるだけで想像を絶する暴力は平熱の内に現れる。ちょっと高いが良書。2018/07/13

ジュン

7
ナチスという題材から巨悪というイメージを取り除いたことが本書の功績だろう。悪は無垢である。先の大戦において、体制を信じた者たちは見事に組織化され、醜悪を極めた犯罪に手を染めていく。その歴史の教訓が重い。2019/04/08

犬養三千代

5
2018年4月16日 副題「ドイツ兵捕虜盗聴記録に見る戦争の心理」5800円 捕虜収容所の兵士の会話を盗聴した記録の分析。あまりに普通の人すぎてなおさら恐ろしい気がした。 仕留め、叩き切り刻んで、セックス。言葉にするのを躊躇う人が多いように思う。2018/12/21

unpyou

5
刺激的な一冊。盗聴された収容所での会話で、あるドイツ兵は明確に自らの反ナチスの立場を表明しつつ「しかしナチスの人種政策だけは正しい」と述べる。こういった見解は戦後の証言では中々表明されないだろう。「自分はナチスのやり方には批判的だった」という部分だけ証言したり、はたまた記憶自体を改変したりするのが人間というものだ、と私たちはよく知っている。 赤裸々すぎるドイツ兵らの戦時暴力を分析する上で採用されているのがゴフマンに習った「参照枠組み」という分析手法だが、この手法自体も初めて知りとても啓発される思いだった。2018/07/11

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