大人の本棚
白い人びと―ほか短篇とエッセー

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  • サイズ B6判/ページ数 191p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622085072
  • NDC分類 933
  • Cコード C1397

出版社内容情報

『小公子』の作者が贈る、死への怖れを優しく拭い去る幻想的な表題作に、『秘密の花園』に連なる初邦訳のエッセイ2篇、童話を付す。

ひとは誰も自分や愛する人間の死を怖れ、永遠の命の存在を信じたいとあがく。不思議な〈視る〉力をもつ少女イゾベルを主人公に、その怖れを優しくぬぐい去るかのような幻想的な表題作は早世した長男への鎮魂の思いから生まれた。ほか、『秘密の花園』に連なるメイキング的エッセイ2篇、童話はいずれも初邦訳。再生を重ねてめぐりゆく命を謳った四篇は、『小公子』『小公女』だけではない、バーネットの大人のための美しい贈り物。

白い人びと/私のコマドリくん/気位の高い麦粒の話/庭にて

内容説明

人は誰も、自分や愛するひとの死を怖れ、死んだあとには何ものこらないのだろうか、という思いを抱えている。不思議な「視る」力をもった少女イゾベルを主人公に、その怖れを優しくぬぐい去るかのような幻想的な表題作は、早世した愛息への鎮魂の想いから生まれた。『秘密の花園』のコマドリ誕生に秘められたストーリーを南イングランドの四季の移り変わりのなかで綴ったエッセー、かのアンデルセンを思わせる童話、さらに、没後に少部数の特装本で出版され、アメリカ国内でも、今日読むことがほとんどかなわない遺作「庭にて」の三篇は、いずれも初邦訳。バーネットからの美しい贈りもの。

著者等紹介

バーネット,フランシス[バーネット,フランシス] [Burnett,Frances Eliza Hodgson]
1849‐1924。英国、マンチェスター生まれ。幼少時に父を亡くし、16歳のとき、母の兄からの招きに応じて一家でアメリカ、テネシー州にわたる。18歳で、家計を助けるため人気月刊雑誌へ短篇を送って採用され、匿名でデビュー。生活を支えるために数多くの大衆誌に書いたが、『ローリィんとこの娘っこ』(1877)で本格的に作家として執筆生活に入る。『小公子』(1886)、『小公女』(1905)、『秘密の花園』(1911)で物語作家としての地位を確立した。1924年にアメリカ、ロングアイランドのプランドームにて死去

中村妙子[ナカムラタエコ]
1923年東京に生まれる。1954年東京大学文学部西洋史学科卒業。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

アン

103
スコットランドの人里離れた古城で暮らす少女イゾベル。霧が吐息のように漂う荒野、透き通る白い肌の幼な友達、書庫に並ぶ古書。彼女は愛児を失い悲嘆に暮れる母親に弔意を表す優しい作家に惹かれ、彼もイゾベルに好意を抱き2人は結ばれることに。死別の惧れへの苦悩、澄んだ瞳に宿る秘密の力。幻影を纏うような神秘的な情景が美しく、切なくも静かな救いをもたらす表題作。愛しい小鳥との魂の触れ合い「わたしのコマドリくん」、未来を夢見る楽しさ「庭にて」。『秘密の花園』に連なる自然を慈しむ眼差しが注がれ生きる歓びを教えてくれるよう。 2022/03/14

kibita

19
「白い人びと」がとても良かった。あとがきで、バーネットが長男を15歳で亡くしたと知ると、この物語は一層囁く様な優しさと祈りに溢れているのを感じ、泣きたくなる。スコットランドの荒地に建つ城とヒースの紫とエニシダの黄色、そして漂う白い霧。「わたしのコマドリくん」も、作者の代表作「秘密の花園」の秘密を打ち明けてくれた様で楽しく、この本には作者の人柄が出ているようで、本当に読んで良かった。2022/11/07

花林糖

12
表題作『白い人びと』と短篇2話・エッセー。『白い人びと』は幻想的で少し切なく好きな雰囲気の物語でした。短篇の『気位の高い麦粒の話』がシュールで面白かった。中村妙子さんの訳が素晴らしい。2015/09/25

ワッピー

10
真実を見える目を持ち、ハイランド奥地の荒地で育った主人公と作家の出会いを描いた表題作。ムーアの美しさ、不思議さが余すところなく書き込まれている美しい作品でした。また、動物好きのワッピーには、コマドリとの交流を書いた「わたしのコマドリくん」も楽しめました。どの作品を読んでも伝わってくる躍動感にあふれた好奇心が大好きです。2013/08/10

みけのすずね

10
孤高のうつくしさをもったミュアキャリー城に住まうイゾベルには、親しんだ荒野で出会った白い顔のお友達がいた…「死って、わたしー現実として感じることができないんですの」死が彼らを引き合わせ、わかちあった「丘の中腹」を繰り返す…おそれや悲しみの感情なく、死が二人の関係の続きなんだ、と感じられた。とはいえ複雑な心境のところに「コマドリくん」との友情?を育むエッセーがきて癒された。「これからもあなたを愛したようにひとを愛することはけっしてないと思うわ、あなたは魂を持っている、かわいらしいひとよ。」庭の描写も大好き。2013/05/24

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